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残念なことに悪質な食品偽装があとを絶たない中国。先日、北京市の病院に男性が体調不良を訴えて訪れたそうだ。検査の結果、男性の体内から殺鼠剤が検出。そのルートをたどったところ、羊肉の屋台が殺鼠剤で殺したネズミの肉を羊肉と偽装し、男性に提供していた可能性が浮上したのだ。

・全身に異常なアザの男性
2013年7月5日、アザだらけの男性が北京市内の病院を訪れた。そのアザの様子はどう見ても異常。体中に大きなアザが出ていたが、大きいものだとA4サイズ以上あったそうだ。男性はすぐに救急部門に移された。

・血液から殺鼠剤の成分が検出
救急治療室で対応した楊軍医師は、男性の体のアザを見てすぐに血液検査を行ったそうだ。検査の結果、血液が凝固障害を起こしていることがわかった。だが、血液の病気でもなさそうだ。さらに精密検査を行ったところ、「ブロマジオロン」という人体には存在しないはずの化学物質が検出された。ブロマジオロンとは殺鼠剤に含まれる成分で、人体にも有害である。

・男性の恋人からも殺鼠剤が検出
さらに男性の恋人からもブロマジオロンが検出されたという。しかし2人には自殺の動機もなければ、誰かに毒を盛られるような恨みも買っていない。また、ブロマジオロン自体が北京では一般人は入手することができないので、誤って服用したというのも考えにくい。

・羊肉に偽装されたネズミ肉が原因の可能性
医師は、2人の聞き取り調査から、6月下旬に2人が北京市内の屋台で食べたという「羊肉」が原因ではないかと考えたそうだ。最終的に、屋台で提供された肉が本物の羊肉ではなく、殺鼠剤で死んだネズミや、猫、犬の肉が羊肉と称して提供され、男性らは間接的にブロマジオロンを服用するにいたった可能性が高いと結論づけたという。

・多発する肉の偽造
楊医師によると、市内の他の病院でも患者の血液から殺鼠剤の成分が検出された事例がいくつかあるそうだ。­­­また中国版 Twitter・Weibo でも医師が屋台の肉が原因とみられる毒劇薬の中毒症状の患者がいることを暴露、今回のケースも決して珍しいケースではないとしている。

・安全の保証がない中国の屋台
ネズミ肉疑惑以外にも、過去にキツネの肉が羊肉と偽装されたケース、下水から作った油の使用なども報告されている。また偽装でなくとも、不衛生な環境下での調理と中国の屋台での食事には何かとリスクがあることは否定できない。

今回の事件を受け、改めて食品の安全性の保証がない屋台での食事は極力避けるよう注意喚起が行われている。

参照元: 広州日報(中国語)
執筆:沢井メグ