海外の一人旅に危険はつきもの。特に女性が狙われやすいのは間違いないが、男性一人でもピンチな状況に陥ることはたまにある。あれは今から8年ほど前のこと。トルコの観光地カッパドキアへ男一人で行った時のことだ。
トルコ現地のツアー会社がオススメしてくれたホテルへチェックイン。やたらと薄暗い「赤い部屋」で気にはなったが、荷物を置いて近所をパトロール。そして部屋に戻ってトイレに入ると……
・タオルがグシャグシャ!
なぜかバスタオルがグシャグシャになっているのである。さらに、鏡を見ると曇っている。一体これはどういうことだ? とりあえず用を済ませてベッドに腰掛けた。すると、なんと!
・ベッドがブニャン!
「オウッ!」という呻き声と共に、ベッドがブニャンと動いたのである! パニクる私(筆者)。ベッドの中に何かがいる! いまだモゾモゾ動いている! 勇気を振り絞って布団をひっぺがすと……な、な、なんと!
・タオル一丁でムニャムニャ!
顔も知らないトルコ人のオッサンが、腰にタオルを緩やかに巻いてムニャムニャと寝ていたのである! 年齢にして40過ぎ。うっすら禿げた小太りのオッサンだ。私はすぐさま、カーテンを「シャッ」と開けて部屋を照らした。
・オウッ! オウッ!
すると、よーく見ると、オッサンの荷物らしきキャリーケースが部屋の隅に置いてある。ワアワアと騒ぐ私に、目を覚ましたオッサンも気が動転。つたない英語と日本語とトルコ語で「オウ! オウ!」と叫び合った。
・ズンズン!
オッサンのタオルは、はだけていた。しかも、激怒しながら立ち上がり、ズンズンとこちらに向かってきた。私はすぐさま部屋を飛び出し、ホテルのフロントに「どうなってるんだ!」と申し出た。
・ブッキングミス!
結局のところ、ホテルの手違いで「ブッキングミス」をしただけとのこと。ホテルのスタッフと共に部屋に戻り、トルコ語で説明を受けると半裸のオッサンは「ワッハッハ!」と笑っていた。
・ゲイだと思った
おそらくオッサンは私がゲイだと思ったのだろう。私も同じくそう思った。だが、私の荷物が置いてあるのに、何の疑問も持たずにシャワーを浴びてベッドに寝るオッサンもどうかと思う。
・軽く抱き合った
オッサンが部屋を去る時、「怒鳴ってごめん」「こちらこそ」と、軽く抱き合った。男と男の戦いは、最後に友情へと生まれ変わる。今にして思えば大変貴重な体験だが、トルコの宿には要注意だ。
▼なんでこんなに赤いのか!
▼カーテンを開けると明るくなる
▼ここで押し問答があった
▼事件後に撮影したバスルーム
▼食堂
▼フロント
▼なんてホテルだかは忘れたが……
▼なんなんだこの怪しさは