toiretto

ふいにやってくる人生のピンチ、それが「急な便意」である。すぐそこにトイレがあるなら問題ない。「トイレ行ってくる」と言える状況なら問題ない。だが、トイレに行けない状況下での “直下型便意” はリアルにピンチな状態だ。

そんなピンチを乗り越えて、運良く間一髪のタイミングで便座に座……る直前に、せきを切ったように「バババッ!」と一気に大放出することがある。雷(いかずち)のごとく、決壊したダムのごとく、バルカン砲のごとく。あれは一体なんなのか。

・必要最小限の動きで頂(いただき)を目指す
「あと10分くらいならガマンできる」と自分に言い聞かせて、冷や汗を垂らしながら耐えに耐える。ゴール(便器)まで目前の距離でも、絶対に、絶対に油断してはならない。歩行フォームにも気を使い、必要最小限の動きで頂(いただき)を目指す。

・あとは便座に腰をかけるだけ……
山頂まであと一歩。トイレの扉を開け、流水のごとき無駄ない動きで便座カバーをパカリと開く。残る動作はあと2つ。バレリーナのようなしなやかな動きで180度ターンをクルリと決め、あとは便座に腰をかけるだけ……のタイミングで全部出ちゃうのだ。

・「よーい、ドン!」の「ド」あたりで出る
お尻と便座の距離は、約10〜20センチ。0.1〜0.2秒あれば、余裕で座れる距離であるが……座る直前で大放出するのだ。完全なるフライングであり、「よーい、ドン!」の「ド」あたりで走ってしまった大便ランナーだが、運良く失格ではない。

・0.1〜0.2秒遅かったらヤバかった
なぜ0.1〜0.2秒が耐えられなかったのか。逆に、「0.1〜0.2秒遅かったらヤバかった……」と思ったりもする。ターンの最中に出てしまったら、トイレの中は地獄と化す。ギリギリだった……と思いがちだが、おそらく答えは否(いな)である。

・油断大敵
便座に座ろうとしたその瞬間、緊張の糸がプツリと切れてしまったのだ。つまりは「油断」。もしもトイレのドアを見た瞬間に油断してしまったら……と考えると恐ろしくて夜も眠れない。そして、「油断大敵」ということわざが脳裏に浮かぶ。

・気と肛門のゆるみは事故を招く
たとえ山頂が見えたとしても、登山中は油断大敵。気のゆるみは事故を招く。むろん、肛門の締め付けも絶対にゆるめてはならない。便座に腰を掛けてから「フフッ、あと10秒くらい耐えてやろうか!」と、逆に肛門を挑発できるようになったら最高だ。

執筆:GO
GOさんのシリーズコラム『あれは一体なんなのか。