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質問です。皆さんは「土」を食べたことがありますか? おそらく大抵の人が「ない」と答えると思います。

そうです、土は食べ物ではありません。それにも関わらず、土を使ったフレンチフルコースが存在するのです。マジッ! 土で料理なんてできるの? 泥臭いんじゃない? と思いきや、安全な土はどんな食材ともベストマッチすることが判明。「味」というものの本来の姿を感じることができました。

この奇抜な料理を提供するのは、東京・五反田のフレンチ「ヌキテパ」です。このお店は、スイカのフルコースを提供していることで知られています。シェフの田辺年男氏と、株式会社プロトリーフが協力して土のフルコースが生まれました。

・子どもが土を口にしても大丈夫?
同社は、ガーデニング用の土をはじめとする園芸資材の卸・小売を行っています。近年「食の安全」が叫ばれて久しいですが、同社には次のような問い合わせが増えているそうです。「子どもたちが、もし口に入れても大丈夫な土ですか?」当然ながら、野菜は土の栄養を吸収して成長します。つまり、土の段階で安全性が保障できなければ、育つ野菜も危険ということになります。そこで今回、栃木県鹿沼市の黒土を使ったフレンチを創作するにいたったそうです。

・土のソース
料理をするにあたって、まずは土のソースを作るそうです。土と水を合わせてソースベースを作り、何度も裏ごしして砂を取り除きます。さらに料理用の「さらし」(きめの細かい布)で一晩濾して、土中の不純物を取り除きます。これにゼラチンを加えてソースの完成。シェフは「土は無味無臭」と説明しています。つまり土本来の味はないので、どんな料理にも合わせられるということです。

・出汁を使わずに素材本来の味を楽しむ
フレンチは本来、「フォン」と呼ばれる出汁を使って調理します。しかし、今回の土のフルコースに出汁は一切使われていません。素材そのものの味と、土の風味をじっくり味わうことができました。

・コース料理に隠された秘密
先にも述べたように、土は無味無臭です。そのまま食べると味がしません。しかも出汁を使っていないので、料理は全般的に薄味という印象を受けます。その代わりに、食感を楽しむ演出がいくつも施されていたのです。たとえば、「じゃがいもの澱粉と土のスープ」は、グラスのふちに塩が塗られていて、澱粉の甘味を強く感じることができました。「ハマグリと土の上澄みジュレ」にはグリーンペッパーがあしらわれていて、ペッパーを噛むとハマグリの旨みが引き立ちます。

これらはシェフが長年培ってきた技術に裏打ちされた秘密。土の持ち味を最大限に生かした技と言えるでしょう。

・無味の向こう側
これらの料理を通して私(記者)は、「無味」を味わうことが非常にまれであると感じました。普段私たちは、過剰に味付けされたものを多く摂取しています。そのため、味の薄いものを「まずい」と感じているはずです。本当はそうではなく、過剰な糖分・塩分にさらされて舌がマヒしている可能性もあるでしょう。今回安全な土を食することによって、「味」というものの本来の姿を見たように思います。

ちなみにこのフルコースは、一週間前の予約すれば、同店で今後も食べることができるそうです。興味のある方はぜひ一度、無味無臭の土を味わってみてください。

■訪問店舗 ヌキテパ
住所 東京都品川区東五反田3-15-19
営業時間 12:00~15:00、18:00~23:00
定休日 月曜日

レポート:フードクイーン・佐藤
Photo:Rocketnews24

▼ 土のフルコース。最初は「じゃがいもの澱粉と土のスープ」。黒トリュフとカブの根と一緒に頂きますnequi3

▼ 泥水ではありませんnequi4

▼ グラスのふちには塩が塗ってありますnequi5

▼ 「サラダ 土のドレッシング」nequi6

▼ ポップコーンを粉砕したものが振り掛けられていますnequi7

▼ ナスがとてもおいしゅうございましたnequi8

▼ 「ハマグリと土の上澄みのジュレ」。土のソースの上澄みだけがゼリーとしてあしらわれていますnequi9

▼ グリーペッパーがアクセントnequi10

▼ 「土のリゾット ハタのソテー ごぼうのソース」nequi11

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▼ イカスミのリゾットのようにも見えますnequi12

▼ 「土のアイスクリーム」nequi13

▼ 糖分・塩分ともに控えめな料理が続いたので、とても甘く感じましたnequi14

▼ 「土のグラタン」nequi15

▼ こちらは温かいスイーツですnequi16

▼ 最後に「土のミントティー」nequi17

▼ 土のフルコースについて説明する田辺年男シェフnequi18

▼ 一週間前に予約すれば土のフルコースを堪能できますnequi19