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皆さんは「遺跡」という言葉を聞いて、どのようなイメージをもたれるでしょうか。「神秘的」や「ロマン」、「古代」や「歴史」など肯定的な意見がある一方で、「カビ臭い」とか「退屈」など、否定的な考えをお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。

記者(私)は世界中旅をして、数々の遺跡旧跡を訪ねてきました。「遺跡」にある程度固まったイメージを持っていたのですが、それを覆すような城塞都市跡が、メキシコになるのです。カリブ海に面した「トゥルム遺跡」は、美しすぎるロケーションに存在しました。

この遺跡は西暦1000~1400年頃に栄えたマヤが建造したものです。1517年にスペインの進攻が始まり最初に発見されたのが、ここでした。つまり、この遺跡を最後にして、マヤは終焉を迎えます。

マヤというと密林地帯に遺跡を構えたイメージを持たれがちです。いや、マヤだけでなく南米の遺跡というと山奥にあると考える方も多いでしょう。私もそれこそが「古代文明の遺跡」と考えていましたが、トゥルムは違います。カリブ海をのぞむ崖のうえに神殿が構えられており、エメラルドグリーンの海を一望できるのです。

澄んだ海、そして遺跡の佇まいはまったく異なる世界のように感じます。まるで「現在」と「過去」を同時に存在させたようにさえ思えてきます。その二つの織り成す景色に、「時間とは何か?」と考えさせられました。とにかく自分がそこにいて、美しいと感じる感情だけが置き去りになってしまった、そんな不思議な感覚でした。

ちなみに、「遺跡」というだけで嫌気がさすという人でも、ここは見ておくべき! と強くすすめます。なぜなら、海水浴を楽しむことができるので、他の遺跡では味わえないリゾート気分を満喫できるでしょう。マヤの遺跡というと「チチェン・イッチァ」が有名ですが、トゥルムにもぜひ足を運んで頂きたいものです。

取材、写真:Photographer Koach
編集:フードクイーン・佐藤

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