川魚や山菜、きのこ類など、日本の山で採れる自然の恵みはたくさんあり、またそういった山の恵みを料理して提供する店は数多くある。

だが数多くあるがゆえに「コレだ!」といえるようなお店はなかなか無い。しかし記念すべき11月某日、某県の山の中にずば抜けてとんでもなく激ウマな料理を出す店を発見してしまった。

周りには山以外何も無いへんぴな場所なのに、ここまで美味しく山の恵みを料理して提供する店があるなんで、いまでも幻だったのかと思ってしまうぐらい奇跡的な出会いだったのだ。

そこはだいたい昼から夕方にかけて営業をしているようで、見た目はこじゃれた山小屋のよう。隣にも有名な料理店があったようなのだが、訪問日は残念なことに定休日だった。

同行者と一緒に注文したものは、岩魚(イワナ)の刺身がたっぷり乗った丼と、きのこの天ぷらなどの山の幸がたっぷり入った定食の二つ。

しばらくして料理が到着したのだが、どちらも山小屋で提供される料理とは思えないぐらい盛りつけが美しく、まるで高級割烹で提供される季節感があふれる御膳そのものだった。

漬物などの小鉢全てが信じられないほど美味しく、特にセットになっていた『きのこ汁』はたくさんの種類のきのこの香り、旨味が渾然一体となっており、体を芯まで温めるだけでなく、美味しさで幸福感が絶頂になるぐらいの味わい。

また、岩魚の刺身は「こ、コレが川魚なの!?」とショックを受けるぐらい衝撃の美味さ。何かに例えるのは失礼なぐらい美味しいのだが、あえて説明するならば旨味の強い脂ののった上質な秋刀魚と鯵の中間のような食感で、生臭さはまったく無い。

新鮮な岩魚の刺身に、きちんとすりおろされた山葵を乗せ醤油をつけてほお張る…まさに至福の時間である。

私はこれほどまでに美味しくてまさに「究極」とも思える料理店にいままでめぐりあったことは無かったし、これからめぐり合える可能性も限りなく低い気がするので、今回はあえて店名をのせずに紹介することにする。でも、どうしても行きたい!という人もいると思うし、絶対わからないようなヒントを3つだけ載せておくことにする。

・ヒント1
店は標高1000メートル以上の山の中にある
・ヒント2
最寄り駅から徒歩で行くと1時間以上かかる。ちなみに最寄り駅も標高1000メートル以上の位置にある。
・ヒント3
東日本

しかしもし分かったとしても、いまでもお店にはたくさんの人が訪れご夫婦2人で切り盛りされており忙しいと思うので、お店に電話するのは極力ひかえたほうがいいかもしれない。たとえばその県に別の用事やレジャーで行った時に頑張ってお店の前まで行き、やっていたらラッキー!と思いつつ訪れてほしい名店だ。

というか、ホントのホントにもし分かってもTwitterとかFacebookとかはてブでドヤ顔しながら「あー、○○ね!」とか店名晒すのはやめてね! 「あー、あそこね! 超ウマいよね!」って言うぐらいにしておいてね! 混んだらマジで嫌だし約束なんだからねっ!

文:なかの
写真:ロケットニュース24