タイを旅する欧米人の間で、「心休まる場所」と呼ばれる街があります。聖地とさえいわれる場所「パーイ」は、タイ北部チェンマイからバスで3時間かかる小さな街です。決して容易には行ける場所ではないのですが、近年バックパッカーで話題になっており「パーイに行ってきたよ!」と、自慢する人も少なくありません。何がこの街の魅力なのでしょうか?

乗り物酔いの激しい記者(私)にとって、バスに揺られて3時間は正直キツイです。街は山奥にあるため、ひたすらユラユラと揺られ続けるのに、耐え続けなければなりません。しかし「心休まる場所」といわれるからには、一度はこの目で見ておきたい。そう決意したものの、道中の苦しさはなかなかのもの……。

そもそもパーイという街は、チェンマイから首長族の住む村までの中継地点として栄えた街です。映画やドラマのロケ地として有名になったことをきっかけに、観光スポットになったのだとか。近年になって、バンコクやタオ島からバックパッカーが流れるようになったそうです。

絶え間なく続くユラユラにひたすら耐えて、ようやく聖地と呼ばれる場所に到着しました。しかしこの街には、目ぼしい名所があるわけではありません。ただ、のんびりとした空気が流れているだけ。しいて言えば、ナイトマーケットが盛んです。

マーケットでは旅行者向けに、お店ごとにオリジナルグッズを販売しています。他の都市では、どこも似通ったものを販売しているのですが、パーイではここにしかない商品を扱う店が多数軒を連ねています。なんでも、最近デザイナーやアーティストが多く移り住むようになり、オリジナリティの高い商品を製造販売しているとのことです。

そのほかにもこの街の魅力は、物価が安いこと、閑静であること。そして客引きがいないことです。バックパッカーにとって一番わずらわしいと感じられるのが、客引きです。ボッタクリみたいな客引きに遭遇するたびに、言い争いになるわずらわしさを、この街では感じることがないのです。そのためか、街ですれ違う旅行者はみんなニコニコしているようにさえ見えます。

あまりの居心地の良さに、数日滞在する予定が数週間になってしまう人もいるのだとか。とにかく、のんびりゆったりと過ごしたいという人は、3時間のバスに耐えて、パーイに訪れてはどうでしょう。うっかり滞在日程を延長してしまうかもしれないので、存分の時間のあるときに訪れることをおすすめします。

取材、写真:Photographer Koach
編集:フードクイーン・佐藤

▼ ひたすら山間の道を走りパーイを目指す

▼ 昼間の街の様子

▼ ナイトマーケット

▼ ビートルにステッカーを並べて売るお土産屋さん

▼ パーイオリジナルデザインのTシャツ

▼ 店舗の様子

▼ 郊外にあるオブジェ。タイの映画などに使われたらしく、ここで写真を撮るタイ人が多い

▼ 裏路地。のんびりとした空気がそこら中から伝わってくる

▼ 郊外にあるリゾートホテル