【音楽コラム】アップルは2012年10月中の販売を予定していた、第五世代となるiPod touchの販売を、アップルストア(実店舗)で開始した。オンラインのアップルストアでは、いまだ販売開始とはなっていないのだが、おそらく間もなく取り扱いが行われるものと思われる。

運良く購入できた記者(私)は、音質が向上したといわれる本体の機能と、今までにない形をしたEarPods(イヤフォン)に期待していた。ところが、ちょっと困った発見をしてしまったのである。それは、Android端末でEarPodsを使うと、iPod touchで利用するよりも良い音になることに気付いてしまった。

「まさか!?」と思い、何度も同じ曲を聞き比べてみたのだが、記者の感想としてはiPod touchで聞くよりもAndroidの方が良い。どうしてこうなってしまったのか……。

・従来の音楽環境
記者はこれまで、iPod touchの第四世代を使用していた。ホームボタンの不具合から買い替え時と考えていた矢先に、第五世代の発売となった。これまではiPod touchを音楽プレイヤーとしても使用していたのだが、ガラケーからジョジョスマホに乗り換えたことをきっかけにして、iPod touchの音質に不満を抱くようになったのである。

・パンとサステイン
iPod touchに何が不満だったかと言えば、もっとも納得できなかったのが「パン」だ。パンとは、音の振り分けのことであり、元の音源では左右のバランスを考えて、楽曲が作られているはずが、iPod touchではこれが無視された形で再生されるのである。Android(少なくともジョジョスマホ)では、デフォルトのプレーヤーでもこのようなことはない。なぜ、振り分けられた音を無視するのか理解できない。

それから、「サステイン」。これは、残響音とでも言おうか、自然に聞こえる音の余韻である。Androidでは自然に感じられる余韻が、iPod touchで聞くと固く感じられるのだ。豊かに響くようには聞き取れず、何かとってつけたような雰囲気をかもしている。

・イコライザーアプリを入れて比較
音域の設定の問題なのでは? と思い、それぞれの端末にイコライザーアプリを入れて比較してみた。イコライザーとは音声信号の特定の周波数帯域を増減させることを指す。iPod touchには、「EQu – 高音質イコライザー」アプリを、Androidにはプレーヤーアプリ「WINAMP」(有料版)を入れて、音の設定を近しいものにしてみた。

しかし先に挙げた、パンとサステインがいちじるしく影響しており、音域を近づけても同じようには聞こえてこない。むしろ、iPod touchの音がますます薄っぺらく感じられるようになった次第だ。

・今までにない音を提供してくれる「EarPods」
とはいえ、付属のEarPodsはかなり優秀だ。アップル公式ページにもう詳しく紹介されているのだが、従来型のイヤフォンは耳のなかを密閉していたのに対して、このイヤフォンは外耳道に音を響かせるように設計されている。これによって、今まで押しつぶされていたような音は広がりをもって、耳の奥まで響きわたるようになっている。さすがアップル! と言いたくなるような、素晴らしいイヤフォンであることに違いない。しかし、iPod touch(もしかしたらiPhoneも)では、そのポテンシャルを最大限に引き出せていないように思うのだが……。

・つまるところ、Android + EarPods
ここまでお伝えしてきたことから、記者はAndroidにEarPodsを利用する道に至った。もしかしたら、記者の意見は少し極端かもしれない。新しいiPod touchに過剰に期待したことも否めないだろう。また、音の好みも人によって異なるので、一概には言い切れないと思うのだが、EarPodsはiPod touchに不釣合いのように感じられた。ぜひ皆さんも、いろいろな端末でEarPodsを試してみて頂きたい。またiPod touchに本当に相応しいイヤフォン・ヘッドフォンも存在するかもしれない。それらを探してみるのも良いだろう。

とりあえず記者は、iPod touchの使い道を考え直す必要があると感じている。EarPodsだけ別売りしてくれれば……。

執筆:フードクイーン・佐藤
Photo:Rocketnews24