iPhoneをはじめとしたアップル製品の部品の製造・組み立てを行っているホンハイグループ傘下のフォックスコン。同社の中国工場で、23日の夜から24日の朝にかけて労働者による暴動が発生した

暴動は数千名単位に膨れ上がり、40名が負傷、10名が死亡したと伝えられている。当初、「3日間は操業停止になるのではないか」という話も出ていたが、iPhone5の供給に全力をそそぐため25日から操業を再開したと中華系メディアが報じた。

暴動が起きたのは山西省にあるフォックスコン太原工場だ。暴動では工場はもちろん、付近の商店なども襲撃を受けている。死者が出たという情報もあり早期の再開は難しいのではないかという見方もあった。

しかし、フォックスコン側は操業停止を1日にとどめ、25日8時より工場を再開すると発表。そして「(操業停止した)1日分の損失は製品に大きな影響はないでしょう。遅れは残業することで十分に補えます」とコメントしたのである。

フォックスコンと言えば急成長した企業としても有名だが、強制残業や劣悪な労働環境でも有名。これまでも労働者による抗議活動が何度も起こり、自殺者も出ている。

操業停止当日には、ホンハイグループ会長の郭台銘氏も現地入りをしている。中国メディアは郭氏は今週一週間、中国大陸に出張であるそうだ。iPhone5の出荷に全力を注いでいることが見て取れるが……。

ちなみに、太原工場ではiPhone5のバックカバーを生産している。フォックスコンの公式発表ではないが、労働者の1日あたりの労働時間は10時間。4本のラインで12名が半日あたり3万6000個のバックカバーを生産しているとされている。

なお、暴動の原因についてはフォックスコン側は労働者同士の個人的ないさかいが原因ではないかと見ているそうだ。しかし、中国大陸も含め多くのメディアではフォックスコンではかねてより警備員の暴力沙汰があり、今回も警備員が工場労働者を殴ったためだと報じている。警察の調査により真相は明らかになるのだろうか。

(文=沢井メグ
参照元: ET Today 中時電子報駆動之家(中国語)