以前の記事で、「羊の脳みそ」を使ったカレーについてご紹介した。日本では、あまり食べられることのないパキスタン料理のひとつ。脳みそという部位を食べること自体、想像できないという人もいるかもしれない。実は東京・新宿の老舗中華料理店では、羊ではなく豚の脳みそが提供されているのだ。

お店によれば、「独特な食感がくせになるかも」とおすすめしているのだが、はたしてどのような味がするのだろうか? 実際に食べてみたところ、高級食材のフォアグラを柔らかくしたような食感で大変おいしかったぞッ!

訪問したお店は、新宿歌舞伎町にある「上海小吃(しゃんはいしゃおつー)」だ。創業から約20年を経ており、上海料理の老舗として知る人ぞ知る名店である。このお店が高い支持を誇っているのは、店主(通称:玲子さん)の気さくな人柄と、たしかな味によるものだ。シェフは「国家特級厨師」という上海でも持つ人が少ないとされる資格を持っているという。

そのレパートリーは600種以上。季節のおすすめや珍味など、常時100種ほどメニューとして提供しており、いつ来ても新しい味に出会えるので、通い詰める人が多いようだ。

そんなお店のおすすめ珍味のひとつに「豚の脳みそ」がある。食材としての豚は、日本でも馴染みがあるのだが、脳みそを食べることはなかなかないだろう。これの味噌炒めをオーダーしてみることにした。

まず見た目は、イメージしていたよりも脳みそっぽくない。記者(私)はてっきり丼か何かに脳みそがドーン! と入って出てくるものだと思っていた。ところが、一口大にカットされており、これがニラと一緒に炒められている。「これ脳みそだよ」と言われない限り、見た目ではそれと判断できない。

そしてレンゲですくってみると、フワフワトロトロ。すぐにでも崩れ落ちてしまうそうだ。食べてみると、口のなかでとろけるような感触。極端に柔らかいフォアグラのようだ。しかしフォアグラほど濃厚ではなく、どちらかといえば鱈に近い淡白な味わい。なるほど、これは濃い目の味付けで、食感を楽しむものなのではないだろうか。

前回チャレンジした羊の脳みそと比べると、はるかにフワトロな食感で、臭みもまったくなかった。おそらく、どんな味でものせられるので、料理人にとっては扱いやすい食材ではないだろうか。

ちなみにこのお店では、ハトやウサギ、カエルや蛇など珍しい料理を多数取り揃えている。豚の脳みそだけでなく、そのほかのものにも挑んで頂きたいものである。なお、記者のおすすめは前菜の「豆腐の細切り」だ。あっさりとした塩味が食欲を呼び起こしてくれるぞッ!

■店舗情報 上海小吃
住所:東京都新宿区歌舞伎町1-3-10
営業時間:平日18:00~5:00、日・祝日18:00~2:00
定休日:無休
レポート:フードクイーン・佐藤

▼ こちらが豚の脳みその味噌炒め

▼ フワフワトロトロの食感。柔らかなフォアグラのよう

▼ 辛いのが好きな方は「辛くして」とお願いしよう

▼ 老舗だけあって、店構えから年季を感じる

東京都新宿区歌舞伎町1-3-10