アジア随一の経済都市・中国上海。シンボルであるテレビ塔がある浦東新区で、7月のある日、記者が信号待ちをしていると、キャリアウーマン風の美女がオシャレバッグの中をゴソゴソ。取り出したのはキュウリ丸々1本を取り出したのだ。そしてそれを、スタバのコーヒーでも飲むかのようにキュウリをバリボリかじり始めたのである。

周囲をよく見たら、小さなお子さんからご年配まで! 中国人は老いも若きもカバンからキュウリを取り出して食べているではないか。何なんだ! マイキュウリを持ち歩いているのか? 13億人総キュウリなの!?

このキュウリ現象は、夏場になると発生するそうだ。記者が目撃したのは上海市だが、内陸部の農村から来たという複数の団体ツアーの皆さんもキュウリをかじりまくっていた。彼らによると「中国人はみんなキュウリを食べる」という。その「みんな」が全て中国人だとは言えないが、多くの地域で習慣となっているようだ。

現地のアミューズメント施設で働いている日本人A子さんによると「暑い日なんか、特にすごいですよ。カバンに何本も入れていて、喉がかわいたらペットボトルのドリンクでも飲むようにバリバリ食べるんですよ。それを狙ってキュウリ売りまで現れます」とのこと。

キュウリは90パーセントが水分だ。栄養が少ないと思われがちだが、ビタミンやミネラルをバランスよく含んでいる。利尿作用があることにも注目だ。体を冷やす効果があるとされ、熱中症予防の効果があると言われている。中国人が暑い日にスポーツドリンクを飲むかのようにキュウリをかじりまくるのは道理がかなっていると言えそうだ。

ただ、A子さんは「食べるまではいいですよ。ただ、キュウリのヘタやら皮やらを外でも屋内でもどこでもポイ捨てするんですよ。施設内がすごく青臭くなって困りますッ」と中国人のキュウリ好きにはウンザリしているという。

熱中症予防のために夏場にはにキュウリを食べる。古くからの知恵なのだろう。さすがは4000年の歴史である。ただ、生ゴミのポイ捨てだけはやめていただきたいものである。

執筆:沢井メグ
photo:Rocketnews24.