韓国政府によると、北朝鮮から韓国へ亡命する脱北者は毎年2000人以上いるという。韓国へたどり着けるのはごく一部だ。実際にはもっと多くの人が脱北を試みている。

だが、韓国への入国がゴールというわけではない。韓国での新しい生活もまた彼らにとっては大変だ。好奇の目にさらされることも少なくないらしい。

韓国のあるトーク番組がゲストに北朝鮮からの脱北女性ら数名を招いたそうだ。そのうちのひとりは、故キム・ジョンイル氏お抱えの楽団に所属していた女性。現在は韓国でお笑い芸人をしているという。

ゲストに脱北者の女性らを招いたのは、韓国の『Now on My Way to Meet You』という番組だ。番組では、どのように北から逃げてきたのか、北朝鮮女性はどうやって夫を選ぶのか、また整形の話にまで及んだそうだ。北朝鮮では二重の丸い目が人気らしい。また可愛らしいダンスの披露もあった。

ゲストの1人は韓国で女芸人として活動しているハンさん。彼女は6年前に脱北し、現在は韓国で女芸人として活動。バラエティ番組にも出演しているそうだ。彼女は番組に出演したことでネット上で批判されるのではないかと心配したが、フタをあけてみると、意外なことに脱北者の彼女らの支持者は多かった。ハンさんはほっとしたそうだ。

また、別の女性も「これまで多難な人生を送ってきました。まさかテレビ番組に出ることになるなんて。しかも私のファンクラブもできているのです。とても驚いており、どうしたらいいのか分かりません。しかしその一方で、番組でもっと頑張り、ファンを増やしたいとも思っています」と心境を明かす。

番組プロデューサーも番組の反響には驚いているそうだ。番組には『10年間で初めて夫と一緒に泣きました』、『来週離婚することをやめにしました』、『北朝鮮脱北者への認識を変えてくれてありがとうございました』といったコメントが寄せられているとのこと。

脱北者のなかには、習慣、社会のシステムの違いから、韓国社会いなじめなかったり、韓国人から差別を受けるケースもあるそうだ。しかし、ときに涙し、ときに爆笑しながら話す彼女らは、北朝鮮が対外的に伝える人民の張り付いた表情とはまるで違う。その表情は柔らかく、快活だ。どこの国の人とも変わらないことを番組は教えてくれたのではないだろうか。

参照元: Reuter(英語)、Youtube gazadvd2000

▼各国メディアによると左側のピンクの服の女性がハンさんだ

▼インタビューに答えた脱北女性、表情も生き生きとしている

▼キュートなダンスも披露だ