アルコール市場はライト志向が叫ばれて久しい。低アルコール化に歯止めが利かず、気がつけばアルコールのふりをした清涼飲料が、棚を占拠する事態にまでなっている。

本当にウマイお酒はどこへ行った? 本当にウマイビールは? 子どもの頃にオヤジと一緒にビールを飲むことに憧れた人も多いはず。だが、オヤジと飲むのに相応しいビールがどこにも見当たらないじゃないかッ! 時には一人で静かにグラスを傾ける、そんな楽しみさえも奪われたようだ。

そんな現状を危惧したビール業界の大手キリンが、真のビール好きの心の叫びを聞きつけたようだ。2012年6月19日に、開発者たちがこだわりにこだわり抜いたビールが発売される。その名も「グランドキリン」。この商品はマーケットを完全に無視し、同社が本気で取り組んだ至極のビールである。

発売に先立って行われた発表会で、商品開発に携わった蒲生徹氏は、グランドキリン誕生のいきさつについてこう語っている。「最近市場がライトなアルコールを欲しているのは承知しています。ですが、商品によっては本来ビールに入っていけないものが含まれています。また、自分が研究のためにチェコを訪れたときに、日本でも飲まれるべきビールに出会い、ぜひ商品化したいと思いました」と静かに、しかし熱くビールについての思いを説明した。

そうして2年間かけて200回以上の試験醸造を繰り返し、さらに販売元のセブン & アイ・ホールディングスと何度も何度も試飲を繰り返し、ようやく納得の行く味にたどり着いたのである。この商品を一言で説明するなら、「豊潤」である。同社商品のなかでもっとも高い麦芽量を誇り、ディップホップ製法という独自の技術を採用し、重厚な飲み応えを実現している。

瓶を開けた瞬間から、華やかな香りを楽しむことができる。さらに、瓶にも改良を重ねており、同一サイズで日本最軽量(140グラム)に仕上がっている。そして、飲み口はやや広めで、そのまま飲んでもグラスで飲んでいるような感覚を楽しむことができるという。

「一本で満足できる、スペシャリティ・プレミアムビール」、これが商品のコンセプトだ。

おそらく市場のニーズを意識していたら、ここまでのこだわりは生まれなかったはず。同社としても製造過程において、葛藤があったに違いない。そこを押し切って完成させたのは、きっと「おいしいビールを届けたい」という開発者たちの強い思いではないだろうか。

記者(私)も実際に飲んでみたのだが、感想としては、最初に飲んだときに「これが国産ビールか?」と一瞬疑いたくなる思いがした。というのも、ホップの華やかな香りに驚いたからだ。重厚な味を売りにしているわりには重すぎるということはなく、飲んだ後にもほど良い香りを楽しむことができる。ビールとしての完成度の高さに衝撃を受けた。

ちなみにこの商品、TwitterやFacebookを使って友人・知人のグランドキリンをプレゼントするキャンペーンを予定しているので、ぜひともチェックして頂きたい。なお商品は、6月19日より酒類の取り扱いのセブンイレブンで先行販売される。もしもビール好きなら、一度試して頂きたい。キリンのビールへの熱い愛情を感じ取ることができるはずだ。発売開始まで今しばらく待たれいッ!!

Photo:Rocketnews24
参照元:キリン「グランドキリン」

▼ ふたを開けると華やかな香りが広がる

▼ 重厚な味わい。プレミアムと呼ぶに相応しいビール