大盛況のうちに幕を閉じた、上海最大の同人イベント「魔都同人祭10 / Comicup10」。その様子は本誌でもお伝えしたが、同人誌にコスプレにとなかなかハイレベル。サークルも一般も参加者たちは思い思いに楽しんでいたようだ。

会場では中国のアニメ・漫画ファンの生き生きとした姿を見ることができた。中でも異彩を放っていたのはボーイズラブを愛する乙女・腐女子の皆様方である。

会場を歩いていると「どっちが『攻め』で『受け』かリクエストくださーい!」という少女の声が聞こえてきた。「攻め」と「受け」はボーイズラブのカップルの立場を示す用語。「攻め」は能動的、「受け」は受動的であることを示す。そんな声が聞こえてきて「えっ!?」と一瞬耳を疑ったが、声の主を探すと……『テニスの王子様』(以下テニプリ)のコスプレイヤーを発見! 主人公の越前リョーマと先輩の不二周助である。

日本でも腐女子ファンが多い同作。中国でも事情は同じらしい。彼女らは写真を撮りに集まった来場者にどんなポージングがいいのかリクエストをとっていたのだ。不二が攻め、越前が受けになったようである。彼女らがポーズをとる度に「キャー!!」「好腐~!!(チョー腐!!)」「萌死人了!!(萌え死ぬッ)」などの歓声が上がった。

また、彼女らは会場内にいたほかのテニプリ・レイヤーを探し出して集結させ、会場は軽いテニミュ状態。あっという間に人だかりができた。演じる方も腐女子なら、見ている方も腐女子である。

彼女らの勢いはコスプレだけではない。二次創作にしても一部の東方、ボーカロイド、美少女ゲームの島を除いて、『タイガー&バニー』『銀魂』『鋼の錬金術師』『薄桜鬼』『戦国BASARA』、またまさかの李白×杜甫本など多くのサークルで腐向け同人誌が扱われていた。特に、会場内で数少ない中国作品の『盗墓筆記』の二次創作は全て腐向けだったと言ってもいい。

会場にいた腐女子に聞いてみると「(きっかけは)環境のせいかしらね、フフッ」とのこと。中国では学生は寮生活だ。学校にもよるが、1部屋4~8人ほどで生活している。誰か1人が腐女子道に目覚めると、本はとりあえず回し読み。そこでハマるかどうかは個人の問題だが、接触する機会は比較的多いそうだ。

日本の腐女子は公衆の面前で自分が腐女子であることがわかるような行動をとること「はしたない」と思う傾向があるという。イベント会場での中国の腐女子の開放感はハンパない。パワフルな彼女らは中国同人文化の主要なけん引役なのかもしれない。

Report:沢井メグ
photo:Rocketnews24.

▼演じることをかなり楽しんでいる様子

▼レイヤーを集めてきて会議中だ



▼「李白×杜甫」本、腐女子は中国オリジナル同人をリードしている


▼注目の中国オリジナル小説「盗墓筆記」の二次創作(腐向け)

▼左は学園パロディだ。しっかりとポイントをおさえている

▼こちらが会場の全体図

▼ボーカロイド、Fate / Zeroゾーンから下はほとんどが腐向け作品を扱うサークルだった