田舎をぶらりと旅しているとき、食べたくなるのはその地ならではの美味いメシ。決して清潔で真新しくてオシャレなお店でなくていい。むしろ、近い過去にタイムスリップしたかのような、ノスタルジー感マンマンなお店のほうが旅情をかきたててグッドである。そして、そんなお店は突然、姿をあらわにする。

場所は本州最北端の青森県。ほとんど山道の国道4号線に乗って、青森中心地から南東方面に爆走している最中だった。助手席の同乗者が「な、なんだあれは!」と叫びながら指さした先に目をやると、そこには……古びた看板に『ベンドリア 焼肉食べ放題』という謎の店名が書いてあったのである。しかも価格は1050円。これはもう行くしかないだろう!

・肉もメシも味噌汁も食べ放題!

まるで野球が出来るほどの広さをもつ駐車場にクルマを停め、我々は謎のレストラン『ベンドリア』へ直行した。店の外観もノスタルジックだが、店内もまたノスタルジック全開。オアシス的な存在である。

しっかり者の女将さんに「焼肉食べ放題ありますか?」と聞いてみると、「はい、ありますよ!」との返事。女将さんは店内に設置された冷蔵陳列棚のカーテンをガラガラッと上げ、「どうぞ!」と言ったかと思うと、テーブル上のガスコンロに火をつけはじめた。

・ご飯も味噌汁も食べ放題

陳列棚に目をやると、牛ロースにモモにタンに豚肉。鶏肉もあるしキムチもある。あとは好きなだけ肉をとり、食って食ってくいまくるのみである。

嬉しいのは肉だけではなく、ご飯も味噌汁も食べ放題という点。当たり前だが、3杯食べても4杯食べても、肉を皿ごとたいらげても、価格は1050円ポッキリだ。メシの最後は、ポットに入ったお茶をズズズッといただく。

・カンボジアの遺跡「ベンメリア」を思い出す

「どこから来たんですか?」と女将さんが口を開く。「東京からです!」と答えると、「ああ、そうですか!」と女将さん。このサッパリ感が青森風味なのかしら。

そもそも何故にベンドリアなのか。そういえば、カンボジアのアンコール遺跡付近には、『ベンメリア』という名の、映画『天空の城ラピュタ』のモデルになったという説もある有名な遺跡が存在する。荒地に次ぐ荒地を抜けた先に、突如姿を現す手付かずの遺跡である。

「ここは青森のベンメリアなのかも……」。

そんなことを考えているうちに、店の外は夕焼け色に染まっていた。なんという綺麗な景色。なんという素朴な空気。これぞ旅だ。思えば遠くへ来たもんだ……。

カンボジアのベンメリアに行った際も、同じ事を考えていた。ノスタルジーに浸りたいならば、思い切り旅情に浸りたいのならば、青森ベンドリアは体験しておいても損はないスポットであろう。

Report:GO羽鳥
Photo:RocketNews24.

▼国道4号線を走っていると……

▼そこにベンドリアはあった。

▼冷蔵陳列棚には……

▼おいしそうなお肉がいっぱい。

▼ガスコンロもレトロであり……

▼なにやら懐かしい味がした。

▼子供に優しい親切価格なのにも関わらず……

▼ご飯も味噌汁も食べ放題である。

▼一方こちらはカンボジアのシェムリアップ。

▼ふと思い出すのは、あの「ラピュタ」のモデルというウワサもある……

▼手付かずの遺跡「ベンメリア」である。

▼そんな思い出に浸っているうちに日は沈み……

▼美しい夕日が我々取材班を照らしていたという。