いまだかつてこれほどまでに良心的な店があっただろうか? 「採算度外視」とか「原価ギリギリ」とか、聞こえの良いことをいう飲食店が多いなか、このお店は本当に「利益あんの?」と思わざるを得ない。以前ご紹介した『俺のイタリアン ANNEX』の姉妹店『俺のフレンチ』、2012年5月16日にオープンした。

このお店はなんと、高級フレンチレストランとして名高い『シェ松尾』の元総料理長が直々に腕を奮うお店だ。つまり名店の味が提供されている。しかも価格が良心的にもほどがあるッ! その驚きのメニューをご紹介したい。とくに肉料理は、全国展開しているステーキハウスと言えども、絶対に太刀打ちできないコストパフォーマンスを実現している。

俺のフレンチは、シェ松尾の松涛レストラン「松涛レストラン」の元総料理長能勢和秀氏や、「青山サロン」の布川鉄英氏など、トップシェフが勢ぞろいしている立ち飲みフレンチのお店である。立ち飲みだからと言って、一切その手を緩めておらず、しかも超リーズナブル。お店の紹介ページにはこう書かれている。

「俺のフレンチ」には飲食業界の常識も銀座のルールも通用しません!(ぐるナビより引用)

その言葉通りに、従来のフレンチの常識、いや飲食業界の常識をぶっ壊したお店といっても決して過言ではないのだ。とにかく安い、そしてウマイッ!! ウマすぎるッ!! できることなら誰にも教えたくないと思う。だが、皆さんにもお教えしよう。

・アミューズのパンがパン屋を超えてる
お店ではアミューズとして、パンが三種提供される。アミューズとはいわば先付け。これがめちゃくちゃおいしい。ほんのり焼き目の入った表面からは、想像もつかないほどフワフワモチモチとした食感で、料理の感動はこのパンからすでに始まっている。ドリンクメニューも良心的、ワインはボトルでも2000円台から楽しめる。またウーロン茶(300円)やミネラルウォーター(350円)などのソフトドリンクも格安だ。居酒屋に行っても500円くらいとる店も珍しくない。

・前菜もメインもすべて1000円以下
1000円以下で食べられる外食と聞いて、皆さんは何を思い浮かべるだろうか? 近頃はラーメンでも、割りと高い値段設定をしている店も少なくないだろう。そんななか俺のフレンチは、「和牛ほほ肉の赤ワイン煮」や「ビーフストロガノフ(俺のビーフストロガノフ)」などが980円。だからといって量が少ないわけではなく、2人で分け合っても十分な量だ。前菜とメインをオーダーすれば、おなかが満たされる。

・シェフのスペシャリテは強烈すぎる
さらに強烈なのが能勢シェフのスペシャリテだ。お店でもおすすめしている「牛フィレ肉とフォアグラのロッシーニ ~トリュフソースで~」。推定180グラムのフィレ肉にフォアグラがドンッ! と乗っかっており、さらに香り豊かなソースにはぜい沢にトリュフを使用。肉の焼き加減はミディアムレアで、最高の状態でテーブルに届けられる。

正直いって、ちまたで流行りのステーキハウスでは到底太刀打ちできない。ここより高い値段でステーキを提供しているお店が「原価ギリギリ」といっても、「?」と思わざるを得ない。なぜなら、このスペシャリテは1280円。もしもこれより高いステーキなら、これよりも絶対にうまくなければならないはずだ。だが残念ながら、それは難しいだろう。

こちらのお店も『俺のイタリアン ANNEX』同様に、1Fはスタンディング。気軽に立ち寄って、おいしい料理を食べるのに最適。ゆっくり腰をすえたいという方は、予約で2Fのテーブル席を利用できるようだ。ただし、予約は取りづらいようなので、「すぐにでも行ってみたい!」という方はお店に行き、スタンディングで利用することをおすすめする。

■店舗情報 「俺のフレンチ」
住所:東京都中央区銀座8-7-9
電話:03-6280-6435
営業時間:16:00~23:30
定休日:日曜日

レポーター:フードクイーン・佐藤
Photo:Rocketnews24

▼ アミューズのパン三種。1個100円でもおいしすぎるレベル

▼ 「たっぷり穴子とウニムースのテリーヌ」680円

▼ 「エスカルゴのラグー パイ包み焼き」680円

▼ なかにはエスカルゴ、そしてポルチーニやトリュフを使ったソースが入っている

▼ 「牛フィレ肉とフォアグラのロッシーニ~トリュフのソースで~」 1280円

▼ 肉の厚みもフォアグラも申し分ない。むしろぜい沢なくらい

▼ ミディアムレアで肉の状態は最高

▼ 「俺が食べたいブラマンジェ」350円

▼ 2人で飲み物を頼んで、おなか一杯食べても5000円以下。もうほかのお店に行けないレベルの安さ

▼ ふらりと寄りたいお店