2008年に自ら命を絶った元女性社員の労災(労働災害)が認定された居酒屋「和民」(ワタミフードサービス)。労災認定された当初、会長の渡邉美樹氏は「命懸けの反省をしなければならない」とTwitterに投稿していたのだが、従業員の労働時間に関して、驚くべき事実が判明した。

東京新聞が報じたところによると、同社は適正な手続きを踏まずに、従業員に時間外労働をさせていたとして、厚生労働省労働基準局監督課は「労働基準法に抵触する」と、指摘しているという。

時間外労働や休日出勤に関しては、労働者と使用者の間で「三六(さぶろく)協定」が結ばれていなければならない。三六協定とは、「労使協定をし、行政官庁に届け出た場合においては、その協定に定めるところによって労働時間を延長し、又は休日に労働させることができる」(労務安全情報センターより引用)というもの。

使用者(今回の場合はワタミフードサービス)は、労働組合もしくは従業員の過半数の推薦で選べれた代表と、時間外労働などについて話し合わなければならなかったのだ。ところが同社の店舗では、店長がアルバイトのなかから代表を指名、その人物に協定書に署名させていたそうだ。届けには「挙手で選出」と記されていたそうなのだが、実際は挙手での指名を行っている実態がなかった。

・三六協定を結ぶ手続き
労基法 労働組合、もしくは従業員過半数に推薦された代表と合意しなければならない
ワタミ 店長がアルバイトから指名し、署名させていた

・時間外労働の時間数
労基法 限度は一カ月45時間(原則)
ワタミ 三六協定で結ばれていた時間は、一カ月120時間だった

さらに時間外労働時間に関しても、過労死の疑いがもたれる月80時間を超え、120時間の労働を認める協定を結んでいたのである。このことについてネットユーザーは次のように反応している。

「とりあえず全国一斉立ち入り調査の方向で道でしょうか?」
「社員思いでない」
「ワタミは変わらないとやばいよ」
「予想通りだな。これで会長がブラックでは無いと言ってるのだから呆れる」
「いっぺん倒産させて会社更生法適用でもしないと立ち直れないかも」
「擁護するつもりは無いけど、こういう所、多いんじゃないの?」
「法律違反を堂々として、人を死ぬまで働かせるワタミ」
「ワタミ潰れろ」

今回の東京新聞の取材を受けて、同社は次回の協定更新時に改めるとしている。速やかな対応を願うばかりである。

参照元:東京新聞, 労務安全情報センター