2011年末、寒い風がふくなか宮城・仙台へ取材に行ったときのことだ。取材が終わったのは午後11時ごろで、賑やかな仙台の商店街も静かな雰囲気に。しかし一軒だけ黄色くまぶしい光を放つ、行列のできているラーメン屋を発見した。

そのお店の名前は『末廣ラーメン本舗』。昭和十三年創業、屋台の味がウリのラーメン屋らしい。見た感じ、行列に並んでいるのは地元の人らしき方ばかりで観光客はあまりいないようだ。これはカナリ期待できるかもしれないッ…。

行列に並んで待つこと数十分、店内に入って「中華そば(並)」680円を注文。お客さんたちがアツアツの中華そばを幸せそうに食べており、空腹の記者の食欲を増幅させる。

数分後、お待ちかねの中華そばが到着。おおおおおっ!? スープがめちゃめちゃ黒い! 醤油入れすぎなんじゃないの? と思ったが、なぜそんなにスープが濃いのか、カウンターにある山盛りのネギを見て理解できた。

ここでは輪切りのネギが入れ放題で、自分でネギを入れることによりスープの濃さを調節して食べるらしい。アツアツのラーメンとタップリのネギ、これだけで風邪をひかなくなりそうな組み合わせだ! ちなみに、最初からネギが入っているものの、自分で追加して食べるのが基本らしい。

遠慮することなくネギをタップリ入れ、スープをひと口。ふぬっっっぎぐンヌゥーーーッ!! これはウマイっ! 濃いめの醤油スープをネギがキリッと仕上げてくれて、非常に後味が良い。麺も細麺で濃い味のタレとちょうどいいぐらいにからまり、全体的に完成度が高い一品に仕上がっている。

東北には塩分が濃い料理が多いが、こうやって自分好みの濃さに調節できるのはありがたい。メニューも焼き飯や卵かけご飯、変わったものだとあさりバター醤油味の中華そばなど豊富で、東北地方以外でもきっと行列のできるラーメン店になるだろうと思えるお店だった。

編集部に戻ってお店のことを調べてみると、どうやら『末廣ラーメン本舗』は秋田県発の24時間営業ラーメンチェーンで、仙台以外には青森や本場の秋田、岩手県・盛岡にあるらしい。なんと東京でも高田馬場にお店があった!

しかもこの味の発祥は京都で、もともとは中華そば店「新福菜館」がもとらしい。関西からこの味がはじまり、東北で数店をかまえるチェーン店に成長し、東京にまで出店するとは……! やっぱりこの味は全国の人たちにウケる本物の美味しさなのだと確信できた。

東北に出張した際に訪れるも良し、東京なら高田馬場までちょっと足を運んでも良し。行けばきっと満足できるラーメン屋『末廣ラーメン本舗』、ぜひ多くの人に行って欲しいお店だ。ちなみに、タレントの佐々木希さんはこのラーメン屋が好きらしく、地元・秋田の店舗に行ったこともあるという。

参考リンク:末廣ラーメン本舗