男性が「ミニ四駆」と聞いたとき、まず真っ先に思い出すのは、速さを競う「レーサーミニ四駆シリーズ」であろう。いや、もしかしたら「フルカウルミニ四駆シリーズ」という、ややヤングなメンズかもしれない。いいや、「ミニ四駆PROシリーズ」という最先端なミニ四ファイターもいるだろう。

だが。忘れないで欲しいのがファットなタイヤの定価1000円、速度は遅いがどこでも走る「ワイルドミニ四駆シリーズ」である。人生最初のミニ四購入時、家族に「ミニ四駆買ってきて」と頼んでみたらワイルドミニ四駆を買ってきてしまったパターンや、そもそも「どう見ても速くなさそうなんだが……これが……ミニ四駆……」と間違えて買ってしまった人もいるのではないだろうか?

私(記者)はそうだった。「ブラックフットJr.」を組み立ててから初めて知った。「レーサーミニ四駆ってのがあるのか!」と。今から20年も前の話である。

・じわじわ来るワイルドな魅力
その後すぐに近所のオモチャ屋を徘徊してレーサーミニ四駆を探しまわるも、ないのである。入荷してもすぐに売り切れ。まだローラーも無い時代だが、入手困難という時代があったのだ。仕方なく他社製のミニ四駆っぽい四駆プラモを買う人もいた。電池を3本入れるタイプなどもリリースされており、それはそれで魅力的だが、やはりタミヤ純正のミニ四駆が欲しい。でもない。

よって仕方なくワイルドミニ四駆で遊ぶことになるのだが、これはこれで楽しいのである。とりあえず遅い。後に「ハイスピードギア」も発売されたが、入れてみるとどうも違う。ワイルドミニ四駆は遅くていいのだ。急斜面もグイグイ登ることが出来る超トルクフルなギアが、ワイルドミニ四駆の魅力なのだ。

・ワイルドミニ四駆写真だけでメシ3杯はいける
また、リリースされる車種(ボディ)がいちいちカッコ良かった。シリーズ一作目の「モンスタービートルJr.」からしてカッコイイ。ミニ四駆漫画『ダッシュ四駆郎』ブーム全盛期、作者である故徳田ザウルス先生がデザインした「ワイルドザウルス」というのもあった。なんと予備電池がホルダーできるのだ。斬新である。

それ以前にリリースされた「ミッドナイトパンプキンJr.」「クラッドバスターJr.」もトラック感あふれて最高だが、ワイルドミニ四駆としての圧倒的な完成度を誇っているのがシリーズ第3作目、黄色いボディの「ランチボックスJr.」ではないだろうか。とりあえず可愛い。なのに男らしくてカッコイイ。まさにラジコン版の「Jr.」である。

・車体上の5連ライトはよく折れた
初期のワイルドミニ四駆は、車体上や荷台の上に「5連のライト」が付いていることが多い。このパーツ、どこかにぶつかると「ポキッ」と折れた。すぐに折れた。多少金額が増しても良いので、絶対に折れない金属製パーツにしてほしいと思ったくらいだ。

……と、そんなことをタミヤ模型のワイルドミニ四駆ページを眺めていると、若かれし頃のミニ四メモリーが次から次へと思い出される。こんなのあったなぁ……と。お、こんなマシンが最近は出ているのか!と。人生に疲れたオジサンたちは、たまにタミヤのページを眺めるといい。男の子な心理に戻って、心のピットインをしたほうがいい。

参照元:タミヤ模型1/32 ワイルドミニ四駆シリーズ製品カタログ
執筆:GO

▼何色に塗ってもカッコイイのがモンスタービートルだ。

▼渋い。とにかく渋い。5連ライトはソッコーで折れるが、カッコイイ。

▼コミカルな印象があったミッドナイトパンプキン。名前がいい。

▼ワイルドミニ四駆は細かく着色しないとここまでの迫力は出ない。

▼思い出深い一台。故徳田ザウルス先生に合掌である。

▼最近はこんなの出てるんだ!