「○○系男子」「○○系女子」という言葉がすっかり世の中に浸透しましたね。もちろん、批判的な意見を耳にすることもあります。「なんでもかんでもカテゴライズするのは良くない」と。一理ありますが、やはり造語や新語は、現代社会を写す鏡のようなもの。

「うまいこと言うなぁ!」と感心させられることも多々あります。例えば「魚介系男子」。鳥が魚を狙う様子から、「獲物を狙うタイミングを計るのが上手い男性」を指す言葉です。「魚介系というよりも、鳥なのでは?」とツッコミたくもなりますが、肉食系・草食系という言葉と並べるには、鳥よりも魚介系というフレーズのほうが適していたのでしょう。

ところで、魚介系男子が獲物を狙う際の「バッチリなタイミング」とは、どういう状態の時でしょう?  いかに鋭い観察眼を持っているといっても、女性の生理周期を嗅ぎ分け、「今こそムラムラしている時期!」と判断するのは不可能なはず。

そうではなく、魚介系男子がターゲットとするのは、落ち込んでいる女性とのこと。仕事でミスをしたり、パチンコでウン万円負けたり、そしてなんといっても失恋直後!  ヘコんでいる時に甘い言葉をかけられると、オンナは恋に落ちやすいものです。

ここまで読んで、魚介系男子に不快感を持ったという人もいるかもしれませんね。「オンナの弱みにつけこむとは、オトコの風下にも置けないヤツだ!」と。ところが、女性陣からは、肯定的な意見が挙がっています。

「もう恋なんてしない、と固く閉ざしていたハートを、再び開かせてくれた!」と、魚介系男子に対して、感謝の言葉を口にする女性もいるくらいです。彼女たちの認識では、魚介系男子ではなく、「リハビリ男」と捉えているのだそう。「もう一度、恋する心を取り戻すための男性」という位置づけなので、恋人同士として真剣交際を期待するようなこともない、ということになります。

これは男女双方に応用可能ですね。ヤリ逃げの常習犯である自分に心を痛めているという男性は、「俺はリハビリ男として、一夜の夢を与えているのだ!」と解釈することが出来ますし、女性側とて、「昨晩の男性はリハビリ男だったんだわ!」ということにすれば、腹もたちません。

ポジティブ思考な女性は、「前向きで魅力的な人だ」と周囲には写るでしょう。その中から、焦らずゆっくり次の恋を見つけるほうが、選択肢も広がります。むろん、第二、第三のリハビリ男が混じっている可能性も大です。恋のリハビリは一回のみ、という決まりはないので、第二、第三のリハビリがあっても間違いではありませんが、リハビリはあくまでもリハビリ。あまり長引かせないようにしたいものですね。

恋愛コラムニスト:菊池美佳子