「強制執行」とは金銭を支払われるべき権利があるにも関わらず、相手の都合で実現できていない場合について、裁判所を介し強制的に実現させようという手続きのことだ。

様々なケースがあるが、なかにはわざと行方をくらまし支払いを逃れようとする悪質な者もいる。中国の浙江省杭州市ではそのような悪質なケースに対し、執行官がいかに強制執行に持ち込むかというアイディアと能力を競う大会が開催されることになった。そこで「模範」として披露された強制執行の方法がすさまじく痛快だと話題になっている。

2010年、ある女性が葛(かつ)という男性に「家を買わないか」と言葉たくみに30万元(約390万円)もの大金をだまし取られた。詐欺にあったことがわかった女性は裁判を起こし、裁判所からは返還命令が出たそうだ。女性は強制執行を申請、50代男性の梁執行官が担当することになった。

梁執行官が葛に連絡をとったところ「金なんてねぇよ! 捕まえられるもんなら捕まえてみな!」と電話を切って逃走。行方をくらましてしまった。

その後の調査により、梁執行官は葛のチャットアカウントを入手。葛はチャットが趣味だという情報から、梁執行官は「奴は若い女性とのチャットが好きに違いない」と、女性としてアカウントを取得し葛に近づいた。梁執行官を完全に若い女の子だと信じた葛は何度かやりとりをするうちに「会いたい」と言うようになった。ついに確保のチャンスである。

約束の当日、ウキウキしながら来た葛を待っていたのは少女ではなく50代のオッサンと警察だ。葛は拘置所に送られ騙し取った金は女性に返還されることになった。

このほかにも女性執行官がプライベートの時間を使って出会い系サイトで周囲の人間から攻略、居場所を割り出して強制執行などスパイ映画さながらのケースもあったそうだ。日本ではちょっと考えられない。半分詐欺のようにも感じるが、彼らは市民にとっては強い味方だ。

なお、今回の強制執行大会は2012年の3月から7月の案件が対象だ。今回披露された「模範」を超える知恵は出てくるのだろうか。執行率を上げるために開かれる大会とのことだ。だが執行官の執念を見せられると……大会開催は抑止力にもなるのかもしれない。

photo:Rocketnews24.

参照元:浙江在線(中国語)