東日本大震災から1年を迎えた2012年3月11日、日本各地で追悼の催しが開かれ、震災が発生した時刻14時46分には黙祷(もくとう)が行われました。東京・新宿アルタ前では、オーロラビジョンでフジテレビの報道番組が放映され、大勢の人が立ち止まって祈りを捧げたのです。

そのとき辺りは静寂に包まれたのですが、別のビジョンで放映されていた携帯電話通信会社のCMが、思いのほか大きく流れ不快感を示す人もいたようでした。

この日、アルタ前の新宿通りは歩行者天国となっており、ビジョンには政府主催の追悼式典(東京・国立劇場)の様子が映し出されていました。この式典には天皇皇后両陛下が臨席、野田首相をはじめ政府関係者、そして被災した遺族の代表など1200人が参加したそうです。

黙祷の時刻には、アルタ前ロータリーは足を止めて祈りを捧げる人たちで埋め尽くされました。水を打ったように静まり返り、普段の新宿の喧騒はどこかに消えてしまったようでした。

聞こえていたのは、運行中のJR電車の音と、最寄ビルの携帯電話通信会社「ソフトバンク」と「ウィルコム」のCMです。タイミングが悪くウィルコムの「どん引き」というキャンペーンのアナウンスが流れてしまい、「黙祷のときにどん引きはないよね」や「うるさくて気が散った」という人の声も聞こえてきました。

とにかくこの日この瞬間、全国の多くの人が黙祷を捧げ、哀悼の意を表したのでした。改めて亡くなられた方々の冥福を心よりお祈りいたします。

Photo:Rocketnews24