神奈川県横須賀市の居酒屋「和民」(ワタミフードサービス)に勤めていた女性社員(当時26歳)が、入社2カ月で自殺した問題で、労災認定されているにも関わらず「労務管理できていなかった認識はない」とTwitterで発言し炎上中のワタミフードサービス会長、渡邉美樹氏。

彼はその後バングラデシュに自身が理事長を務める郁文館夢学園の姉妹校建設のために訪れているが、そこで「どこまでも、誠実に、大切な社員が亡くなった事実と向き合っていきます。バングラデシュで学校をつくります。そのことは、亡くなった彼女も期待してくれていると信じています。」と発言。精神障害となり最後に「体が痛いです。体がつらいです。気持ちが沈みます。早く動けません。どうか助けて下さい。誰か助けて下さい」と遺書に書いた女性が学校建設を期待するわけがないとまたインターネットユーザーたちの怒りを買ってしまったようです。

現状「周りが見えていない」とも言える渡邉氏の行動ですが、そんな彼に今最も送りたい全世界で貧しい人々のために活動をし、ノーベル平和賞を受賞した『マザー・テレサ』が黒柳徹子さんに送ったと言われる言葉があります。

「自分の国で苦しんでいる人がいるのに他の国の人間を助けようとする人は、他人によく思われたいだけの偽善者である」
「大切なことは、遠くにある人や、大きなことではなく、目の前にある人に対して、愛を持って接することだ。」
「日本人は他国のことよりも、日本のなかで貧しい人々への配慮を優先して考えるべきです。愛はまず手近なところから始まります」

……なんとも深い言葉です。バングラデシュへの学校建設以外にも東日本大震災の陸前高田市参与になるなど、確かに渡邉氏の活動は立派なものだと思います。しかし、素晴らしい行いをしている裏で過酷な労働を強いられている従業員がいるようでは、その活動は結局のところマザー・テレサの言葉通り「他人によく思われたいだけの偽善」であると他者に受け止められてしまうでしょう。

現在ワタミフードサービスはマスコミの報道に対して「報道されている勤務状況について当社の認識と異なっておりますので、今回の決定は遺憾であります」(原文まま)と公表していますが、それならばなぜ亡くなった女性社員や現状のの勤務実態をすぐに公表しないのでしょうか?何も後ろめたいことがなければ、この表記と同時に説明が載せられたはず。

また、マザー・テレサは世界平和のために何をしたらいいのかと聞かれた時に「帰って家族を大切にしてあげて下さい。」とも答えており、今回の渡邉氏の行動と真逆の発言をしています。マザー・テレサの言葉が全てというわけではありませんが、渡邉氏には超大企業の会長として、自身の家族とも言える社員をもっと大切にしていくことを求めます。

(文=江田島平子