アイドル界はまさに群雄割拠、AKB48が登場して以来、多人数型アイドルグループが続々デビューしている。テレビや雑誌など主要メディアに登場する数はかなりのものなのだが、実は地道なライブ活動を続ける「地下アイドル」の世界も競争は熾烈を極めている。

そんななか、他のグループとは明らかに一線を画すアイドルがいるのをご存知だろうか? そのグループ「アリス十番」は、ホラー系アイドルとでも言おうか、ジェイソンマスクをつけたり、ステージからダイブするという必殺技(?)を持っている。

アイドルというには異色すぎる彼女たち、その舞台裏を取材した。ライブでの奇抜な演出の裏には、どうやら秘密があるようだ。

■ アリス十番の異色演出あれこれ

・ ジェイソンマスクと武器
まず驚かされるのが彼女たちのステージ衣装だ。衣服には特に変わったところはないのだが、ライブではジェイソンマスクを着用する場面がある。ルックスが売りのはずのアイドルが、マスクをするのは珍しい。そして武器を携えてステージに登場する。

・ ヘッドバンキング
メタルアイドルを自負する彼女たちのライブでは、ヘッドバンキングが普通に行われている。最前列のファンは、曲のピークになると頭を振りっぱなしだ。

・ ステージからのダイブ
バンドのライブでも、ダイブは禁じられることがあるのだが、彼女たちは自ら飛ぶ! しかも、その彼女たちをファンがやぐらを組んで受け止めるのである。握手しかできないアイドルとは、文字通り「身の投じ方」が違う。

・ イリュージョン
歌と踊りでステージを盛り上げるのはもちろんのこと、途中でイリュージョンの時間も用意されている。決して派手なものではないのだが、観ていて本当に飽きない。というよりも、ささやかな仕掛けがたくさん盛り込まれており、目が離せないのだ。

■ 異色グループが生まれた理由

実は、彼女たちの活動を支えている関係者は、全員バンド畑出身だ。楽曲のアレンジはもちろんのこと、パフォーマンスやステージングの細部に至るまで、今までのアイドルにはなかった工夫をいくつも持ち込んでいる。衣装もヘッドバンキングもバンドの発想に基づいているのだ。

似たようなユニットが数多く存在するなかで、オリジナリティの高いものを生み出そうと知恵を絞った挙句に、メタルアイドルという考えに行き着いたのだとか。

また、メンバーもアメリカのバンド「スリップノット」(メンバー全員がマスクを着用している)を好んでおり、ジェイソンマスクをつけることに抵抗がなかったそうだ。

■ 絶大なるファンの力

・ ファンの組む強固な「やぐら」
先に挙げたように、彼女たちはステージからダイブする。それを受け止めるのはファンだ。一歩間違えばけがにつながる恐れもある。しかし、メンバーとファンは固い信頼関係で結ばれており、ファンが組む「やぐら」は試行錯誤のうえに誕生した強固なやぐらである。何度もステージを重ねていくうちにメンバーはより高く、より自由に飛ぶようになった。

・ ダイブの発案はファン
ダイブはファンのアイディアによるものである。他のグループとより差別化をするために、「ステージから飛んだらどうか」との意見がファンから持ち上がった。とは言っても2つ返事で飛ぶわけに行かない。そこでファンは繰り返しこう諭したそうだ。「俺達が支えるから思い切って飛んで来い!」と。

そしてファンの皆さんは、「自分たちも演者」と自負している。したがって、アリス十番のライブはステージ上・ステージ下、いずれも楽しめる一体感が生まれている。

記者(私)が取材にうかがった日は、ライブ前に入念なリハーサルが行われていた。その一部始終を拝見したのだが、スタジオを支配する緊張感に圧倒されてしまった。同じ曲の同じ箇所を何度も繰り返し、本番に臨む。彼女たちの多くはまだ10代、しかしプロ意識の高さに驚かされるばかりだ。

今後が非常に楽しみなアリス十番。余談だがマネージャーは、「天才たけしの元気が出る」テレビのダンス甲子園に出場した経験の持ち主。「れいかんやまかんとんちんかん」と言えば、思い出される人も多いはず。そのマネージャーが、アリスのダンス指導に参加していることは言うまでもない。

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写真:Rocketnews24
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▼ リハーサルから本番までの動画

▼ 繰り返し演出を確認する
▼ 衣装に着替えて本番へ
▼ ジェイソンマスク着用、迫力がある
▼ 突然始まったイリュージョン、異色すぎる
▼ ちなみにこちらはファン精鋭、通称「ハッピ隊」の反省会
▼ 次回に向けて、やぐらの組み方を確認

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