何者かに楽天市場のアカウントを乗っ取られた私(本誌記者)。勝手に炊飯器とデジカメを買い物をされ、まったく知らない住所が配送先になっていたのである。その顛末の詳細は『シリーズ・追跡ネット犯罪』をご覧になって頂きたいのだが、ともかく私は、配送先の住所を尋ね、住民と思しき中国人にお米持参でご挨拶をした。

それだけである。ご挨拶をしに行ったのだ。どんな人がそこにいるのか、ただ純粋に確かめたかったのだ。ここから先の仕事は警察におまかせしたい。ちなみに、その後も一度警察署へ向かい、IPアドレスなどの情報を渡したが、現在までに捜査の進展などについての連絡は来ていない。

・それぞれの対応
今回の出来事には、主に7つの登場人物(企業・組織・場所)が関係している。まずは私。次に乗っ取り野郎。3つ目は配送先の住所(にいた人物)。4.警察。5.某大手家電量販店。6.クレジットカード会社。そして7つ目は楽天市場である。4.警察までの対応&動きはすでにお伝えしているので、のこりの3つのその後の動きについてお伝えしたい。

まずは乗っ取り野郎が楽天市場で商品を購入したお店である某大手家電量販店。注文したのは私ではないので発送前ならストップしてくれという連絡に対し、「商品は2月11日11時46分に配送済み」との返事があり、「恐れ入りますが、楽天市場にご登録いただいておりますクレジットカード会社様にご相談いただけますようお願い致します。」との一文が添えられていた。平たく言えば、「ウチの仕事は完了している」ということである。たしかにそうだ。そうなのだ。いや、でも、そうなのだが……そうなんだよなあ。確かに仕事は終わっている。完結している。

・真の被害者はクレジットカード会社
お次はクレジットカード会社である。今回の一件で、最も親身になって対応してくれたのがクレジットカード会社である。まず結論として、乗っ取り野郎が注文した10万円以上の買い物に対しての請求はストップしてくれた。つまり私は支払う必要がなくなったのである。最初から私は被害者ではないと言われてきたが、これにて完ッ全に被害者ではなくなった。一方、クレジットカード会社は、金銭面での損害を被ったことに。

しかし、支払う必要はなくなったが、めんどくさいことになったりもした。それは、クレジットカードの番号を変更しなくてはならないということ。番号変えての再発行手続きである。カード会社として、この対応は必須であるという。現在のカードの番号を今すぐに捨て、新しい番号にする手続きをふまないと、調査も保証も何もかも、先に進めないのだという。

・ここ半年で何度もヤラれてるカード会社も本腰入れて調査を開始
今回のケースは、番号や名前はもちろん、クレジットカード情報が悪用されたのではなく、楽天のアカウント情報が何者かに使われた可能性が高い。カード会社の担当さんは、電話口でも「あくまでも楽天側の問題」とこぼしていた。また、このような場合、本来ならばカード会社としては何の対応もしないという。なぜならばカード情報の漏洩ではないから。カード会社が対応してくれる対象となるのは、基本的には「カード情報が漏れた場合」なのだという。

もしもカード会社が対応してくれなかったらどうすればいいの?という問いに対しては、「消費者センターなどにご相談いただく……というかたちになるかと思います」とのこと。

しかしながら、今回、カード会社は対応してくれた。「なぜ?」と聞くと、今回のような楽天アカウント乗っ取りでのトラブルが、ここ半年で急激に伸びているからだという。楽天がらみが非常に多いと。あまりにも増えているので、カード会社としても本腰入れて調査せざるを得ないと。さらにカード会社の担当さんは、「楽天さん側のほうでの対応が万全でいらっしゃらないようで……」と言葉を選びつつ話してくれた。

それはまるで「楽天ええかげんにせーよ」と言っているように聞こえた。

・最後に楽天
アカウント乗っ取りが判明した直後から、楽天市場の姿勢は一貫していた。一言で言うなら、すべてにおいて他人任せということだ。お金はカード会社に相談してください。お店へもあなたが連絡してください。警察へもあなたが……。楽天市場がやってくれたことは、乗っ取られたアカウントのIDとパスワードとメールアドレスを元に戻してくれただけである。

さらに、「アカウントの取り扱いには、あなたのほうで注意してください」や「もし心配ならコンピューターのセキュリティ強化を」などと言っている。「弊社にて情報漏えいの事実は確認できておりません。」とのことであるから、情報漏れの原因は私であると。そう言っているようにも見える。

でも本当なの? ほんとなんですか? ということは私のパソコンから漏れたのが確実とういことですか? と、改めて聞いてみたが、かえってきたのは「弊社にて情報漏えいの事実は確認できておりません。」という返事だけであった。

・人間味がゼロ
さらに、「最初からすべて他人任せにするのは無責任なんじゃないの? 一番最初のメールから、お金のトラブルはカード会社へ!と振っているのは、あまりにも無責任なんじゃないの?」とも聞いてみた。素人考えながら、あまりにも責任を持たなさすぎると感じたからだ。しかし、かえってきた言葉は

「クレジットカード会社での判断につきましては、弊社ではわかりかねる状況でございます。お力添えできる範囲が限られており、ご不快の念をおかけすることとなり申し訳ございません。」

とのことである。何も腹を割って答えてくれない。返事に温度が感じられない。すっごく冷たい。まるで機械のようだ。マシンのようだ。もしかしたら、一日に何発もメルマガを送ってくるのも、このマシンなのかもしれない。

・自分の身は自分で守れ
結局のところ、自分の身は自分で守るしかないのである。誰ひとりとして助けてくれないことも、じゅうぶんにありうる。過去の私がそうだったように、泣き寝入りせざるを得なくなることも絶対にある。読者の皆様もお気をつけていただきたい。まだパスワードを変更していない人は、すぐに変更したほうがよい。できれば今すぐ……今すぐだ!
(完)

Report:GO羽鳥