「毛は剃ると濃くなるよ」「暗い所で読書をすると目を悪くするよ」などなど……昔から家族や友人に当然のごとく言われ続けてきた身体に関する通説と言えば、誰しもいくつか思いつくだろう。しかし、それが本当に事実なのか疑ったことはあるだろうか? 

以下にご紹介するのは米サイト「lifehacker」で紹介された身体にまつわる10の「勘違い」であるが、日本でも信じられているものが多く、非常に興味深い内容となっている。
 
(1)体毛は剃ると濃くなる
「毛は剃ると濃くなるんだよ~!」という説は頻繁に耳にする。でも、ちょっと待って? それが事実なのであれば、薄毛に悩む男性は頭を剃れば毛は薄くならないってことだろうか? いやいや、その前にこの通説事体が非常にあやしいものなのだ。子どもの健康の専門家、レイチェル・ヴリーマン氏はこうコメントしている。

「最近の研究でも、剃毛が毛を濃くしたり、毛が伸びるスピードを高めることはないと確認されています。剃られた後の毛は普通の毛のように先端が細くなっていないため、濃くなっている印象を与えるのでしょう。また、太陽や化学物質に晒されていない新しい毛は、古い毛よりも濃く見えます」とのことである。
 
(2)体重管理の上で最も重要なのはカロリー計算である
ダイエットで最も重要なことは摂取カロリーと燃焼カロリー量のバランスだと考えられている。もちろん摂取カロリーを減らすことは体重減少に効果があるが、それだけが重要ではない。全ての食べ物が身体に対して同じ影響を与えるわけではないからだ。

そもそも、1カロリーは「1グラムの水を摂氏1度上げるために必要なエネルギー」。熱量の単位であり、当初は食べ物に関して使われるものではなかった。同じ低カロリーダイエットでも炭水化物が多く脂肪が少ないダイエットとその逆のダイエットを比較した場合、後者のダイエットの方が健康に良かったという研究結果もある。

また、「たんぱく質は他の栄養素よりも消化と代謝の際にカロリーを使います。たんぱく質は食べ物が胃から腸に移動する時間を長くするので、満腹感が持続します」登録栄養士のカリ・ハーテル氏はアドバイスしている。

カロリー計算だけではなく、栄養素のバランスを考えてダイエットに取り組むべきだろう。
 
(3)毎日の睡眠時間は8時間必要である
睡眠時間は8時間必要と一般に考えられているが、人によってはそれは当てはまらない。 ミュンヘン大学の研究チームによる研究結果によると「ABCC9という遺伝子を持っている人は必要な睡眠時間が平均よりもずっと短い」のだという。

またオレキシンAという物質が睡眠を制御するとも言われる。実際にUCLAの研究チームが猿を使って実験を行った結果、オレキシンAを鼻にスプレーした猿は、偽薬をスプレーした猿に比べて覚醒状態が続いたという。

オレキシンAの研究はまだ日が浅いが、睡眠は私達が考えるよりも複雑に制御されている可能性を示している。8時間睡眠は万人に推奨されるものではないのだ。
 
(4)暗い場所で読書をするのは目に悪い
子どもの頃「暗い所で読書をしちゃだめよ」と親に注意された経験がある人は多いだろう。しかし、子どもの健康の専門家、レイチェル・ヴリーマン氏によると「十分な明かりが無い場所で読書をすると、眼精疲労を起こすが、目に深刻で永久的なダメージを与えるわけではない」と言う。

近視に関するある論文は、暗い明かりの下での読書や、本を顔に近づけて読むと、目を酷使し、眼球を傷め、目の屈折異常を引き起こすと書いている。疫学的な証拠や学術的な経験のある人に近視が多いことを理由にしているが、それはまだ仮説にすぎない。

過去においては長い間、ろうそくやランタンの灯りを使って、現在よりもさらに暗い灯りの下で本は読まれていた。そのため、ここ数世紀間に近視が増加した理由は灯りの暗さだけが原因ではないだろう。

眼科学においても、暗い照明の下で読書をすることは目を傷めないという意見が大半である。一時的に眼精疲労を引き起こすことはるが、目の機能や構造に永久的な変化を与えるようなことはないという説が多く支持されているのだ。
 
(5)クラゲに刺されたらおしっこをかけると良い
アメリカの人気テレビ番組「フレンズ」のある回では、クラゲに刺されたモニカを見て、ジョーイがおしっこをかければ良くなることを思い出すシーンがあるが、あれはあくまでコメディの中の話しだ。作家のマーク・レイナー氏とビリー・ゴールドバーグ氏は、クラゲに刺された場合の対処として以下の方法を推奨している。

まず、目に見える毒針を出来る限り取り除く(可能であれば手袋を使用して)。次に、傷口を家庭用の酢で洗う。酢に含まれる酢酸には肌に残っている毒が拡散するのを防ぐ効果がある。酢がなければ、塩水でもよい。

実験で検証したところ、尿やアンモニア、アルコールは生きた刺胞を興奮させる可能性があるという。つまり、尿をかければ刺された箇所が悪化するかもしれないのだ。クラゲに刺されたらおしっこをかけるのは治療どころか逆効果にさえなりうる。絶対に避けよう。
 
(6)代謝が遅いと太る
代謝が速いとより多くのカロリーを燃焼する。だから「スリムで健康的な人々は代謝が速い」と考えがちであるが、それは必ずしも真実ではない。

肥満について研究しているジム・レヴァイン博士が体重の重い人と軽い人の代謝を比較する実験を行ったところ、体重の重い患者の方が代謝が速い結果になったという。身体を常に機能させために燃焼するカロリーである基礎代謝は身体が大きければ大きいほど高くなり、逆に身体が小さければ低くなるからだ。

博士は、代謝のスピードよりも、むしろ座っていることの多い生活習慣が太る原因になっているという。もちろんそれだけではない。不健康なダイエットや運動不足なども原因になる。要因はいくつも考えられる。代謝だけが問題とは限らないのだ。
 
(7)寒い場所にいると風邪をひく
寒い場所にいると風邪をひくような気がする人も多いだろう。しかし、実際には寒い気候が風邪を引き起こすわけでは決してない。

一般的に風邪の原因はウイルスである。ウイルスはあちこちに存在していて、避けるのは困難だ。風邪をひいている人に接触すれば、風邪が移る可能性は高い。風邪の予防には、風邪をひいている人に近づかないこと、そして手を洗うことが重要だ。また、睡眠不足であったり、食生活が乱れていると感染症に対する抵抗力が弱まる。

ちなみに、抗生物質は日常的な風邪には効果が無い。抗生物質はバクテリアに対してのみに効果を発揮するからだ。風邪への最善の対処法は、よく眠る、休む、きちんと食べることである。
 
(8)熱は頭から逃げる傾向にある
熱は上昇する。だから、身体を暖かく保つためには、頭に何か被ることが大切だと考えるのは一理ある。しかし、実際には身体の他の部位に比べて、頭から逃げる熱がとりわけ多いわけではない。

子どもの健康の専門家、レイチェル・ヴリーマン氏はこの通説が生まれたのは、昔の研究でサバイバルスーツ(帽子はない)を被験者に着せて熱の放出量を測定したところ、熱のほとんどが頭部から逃げた結果となったことが理由だと話す。しかし、着せた服が水泳用の服でなければ、頭部から1割以上もの熱が逃げる結果にはならなかっただろう、と専門家は言う。

最近の研究によっても、頭部と熱の放出に関係性はないということが確認されている。実際には、服などで被われていない部分から熱は逃げ、その分だけ身体も冷えることになる。寒い場所に出かける時には、帽子よりも身体を冷やさないように服を着ることが大切だ。
 
(9)蛇に噛まれたら、毒を口で吸い出すべき
冷静に考えれば蛇に噛まれた時に、毒を口で吸い出すなど恐ろしいアイデアだ。実際、非常に危険である。作家のマーク・レイナー氏とビリー・ゴールドバーグ氏は毒を口で吸い出した場合、傷口が感染するおそれがあると警告する。アメリカ赤十字の推奨する方法は次の通り。

1) 石鹸と水で傷口を洗う
2) 噛まれた場所を動かさず、心臓より下の位置にする
3) 医者にみてもらう

場合によっては、ゆるく止血帯を巻くのも毒が拡散するのを防ぐのに役立つとのことだ。
 
(10)夢遊病者を起こすのは危険である
夢遊病者を起こすのは危険であると巷では信じられているが、実際には起こさない方がずっと危険である。

方向間隔を失った夢遊病者がベッド以外の場所で起こされれば、もちろん相当びっくりするだろうし、場合によっては興奮のあまり平手打ちがとんでくるかもしれない。が、どこに行くかも分からない夢遊病者を自由に歩かせるままにする方が実際はより危険である。

ニューヨーク大学の睡眠障害センターのディレクターであるアナ・クリーガー博士によると、最も良い夢遊病者への対応法はベッドに戻るように誘導することだという。誘導がうまくいかなければ起こす必要が生じるが、まずはとにかく元々眠っていたベッドに誘導するように努力すべきとのことだ。
 
以上が10の「勘違い」である。長年信じていたものもいくつかあったかもしれないが、いかがだったろうか? これ以外にも世間で信じられている「通説」を本当かどうか一度疑ってみると、新たな真実が見えてくるかもしれない。

(文=佐藤 ゆき
参照元:lifehacker(英文)
photo:flickr stuartpilbrow