高層ビルの建設は経済発展の象徴だ。日本でも高度成長期には多くのビルが建ち並び、現在ではアラブ首長国連邦のドバイ、中国、インドなどで建設ラッシュ。各国が世界一の高さを競っている。

だが、国際金融グループ・バークレイズのバークレイズ・キャピタルから驚くべき報告が発表された。調査によると、世界の主要な経済後退・金融危機は、そのとき話題の超高層ビルの建設中もしくは完成後に起こっているというのだ。

バークレイズ・キャピタルの発表によると、過去140年の世界の超高層ビルの建設と主な金融危機には「不健全な関係性」があることがわかったそうだ。
 
例えば、1939年、アメリカ・ニューヨークにあるエンパイアステートビル(443メートル)の建設が始まったこの年には第二次世界大戦のきっかけにもなった世界恐慌が起こっている。

同時多発テロの舞台となった同じくニューヨークのワールドトレードセンター(528メートル)の建設時期、はちょうど1970年代のオイルショックと時期が重なる。

1997年、マレーシアのペトロナス・ツインタワー(452メートル)の建設中にはアジア通貨危機が起こり、現在世界一の高さを誇るブルジュ・ハリーファ(828メートル)建設中の2009年にはドバイショックが起こっている。
 
これらは単なる偶然なのだろうか。バークレイ香港資産研究部主管のアンドリュー・ローレンス氏は「建設ラッシュは過剰な融資の証だ」と指摘している。過剰な建設ラッシュは豊富な資本の不適切な配分であり、それが結果として破綻、経済後退へつながるということである。

過剰な投資から来る破綻ということであるが、同社が現在注目しているのは中国とインドだそうだ。

現在、世界に124ある高層ビルのうち53パーセントは中国にある。しかもそのうちの80パーセントは香港・深センを中心とする珠江デルタと上海近辺の長江デルタに集中しているそうだ。

またインドは高層ビルラッシュを迎えており、14棟が建設中。その中にはムンバイに建設中の世界第2位の高さになる予定のビルも含まれている。

歴史はまた繰り返すのだろうか。報告によると「幸いなことに、現在建設中の超高層ビルのうち世界一高いビルであるブルジュ・ハリーファを超えるものはない」とのことであるが、一国の経済後退はもはやその国だけの問題ではない。バブル崩壊なんてことにならないことを祈るばかりだ。

参照元:CBC NEWS(英語)