餃子の王将(以下、王将)が、「史上最辛」だと豪語するメニューを今まさに販売している。『辛さ激増し 野菜たっぷり担々麺(税込750円)』というのがそれで、2021年6月30日までの期間限定商品だ。

ポスターを見ると、なんとも辛そうである。炎をあしらったデザインからして辛そうだし、「花椒(フォージャオ)香る激辛ラー油使用!!」の文言からしても辛そうだし、そもそも商品名に “辛さ激増し” と入れるところからして辛そうである……が!

蒙古タンメン中本(以下、中本)のファンである私の本音を言うと、「ぶっちゃけ余裕」であった。王将と中本では、辛さの次元が全く違うからだ。中本の北極ラーメンを(瀕死になりながらも)完食する私からしたら、王将の「史上最辛」なんて たかが知れているーー。

という気持ちで王将に向かったところ、放送事故みたいになったので注意喚起の意味を込めて報告したい。


・中本の蒙古タンメンとの違いを確認したい

最初に言っておくと、私は王将も中本も大好きだ。どちらも「近所に欲しいチェーン店TOP5」に余裕でランクインするし、実際に、最低でも週1のペースで利用している。多いときは週4だろうか。

だから、王将が『辛さ激増し 野菜たっぷり担々麺』を販売すると知ったときは嬉しかった反面、「中本の蒙古タンメンとどう違うんだろう? 辛さのレベルはどの程度なのか?」ってところも気になった。

そのあたりを確かめるべく、王将の店舗で『辛さ激増し 野菜たっぷり担々麺』を注文。ついでに麻婆豆腐も注文したのは、担々麺の辛さをナメていたからに他ならない。


しばらくして『辛さ激増し 野菜たっぷり担々麺』が出てきたが、実物を見ても特に衝撃はない。「まぁこんなもんか」という感じ。表面に何やら赤い物体が見えるものの、中本の象徴・北極ラーメンの深い紅(くれない)と比べたらお遊戯のようなもの。


実際にスープをすすっても、そこまで辛くはない。中本ファンに分かりやすいように言うならば、「辛さ的には『五目蒙古タンメン(※中本によると辛さレベル6)』くらいかな?」というのが第一印象。『蒙古タンメン(辛さレベル5)』よりは辛い気がするが、どう考えても『北極ラーメン(辛さレベル9)』よりは辛くない。


いや待て!


よくよく味わうと、辛さの種類が中本とは違うではないか。王将の『辛さ激増し 野菜たっぷり担々麺』には “シビレ” もあるぞ。唐辛子的な辛さなら中本の圧勝だが、シビレる辛さに関しては王将の方が強い

それから、王将のスープの方がクリーミーな点も見逃せない。ココナッツミルク的と言うか、やや甘さのあるスープだ。そこに辛さを合わせるテクを使っているのか。オシャレなことしやがって……。


――と思っていたら『麻婆豆腐』も来たので、『辛さ激増し 野菜たっぷり担々麺』と比較してみることにした。担々麺と麻婆豆腐を比べることで、中本のことを全く知らない人でも何となく辛さの想像がつくのではないか。

王将は店舗によって味の差が大きいので一概には言えないが、何らかの役には立つだろう。


そう思い、麻婆豆腐を口に運んだところ……! なんということだろう。舌がシビレてよく分からないのだ。担々麺の方が辛い気もするが、麻婆豆腐の方が辛い気もする。何なら、飲んだ水でさえ辛い気がする。


こうなったら、舌先の回復を待ってから比較するしかない。ただ、何もせずに待っていると料理が冷めるので、適度に食べながら回復を待とう。


それが裏目に出たのかなにかよく分からないが、舌は一向に回復しない。そもそも、私の口の中にあるものは本当に舌なのか? ただの分厚いダンボールではないのか? と思うほどに舌先の感覚器官が死んでいる

したがって、いくら食べ比べても辛さレベルの違いが分からない。どれだけ食べても、どれだけ舌先を水のグラスに突っ込んでも、全然分からない! 一体どうすればいいんだ? と焦りながら、とりあえず料理の写真を撮ろうとしたその時……!!


私は愕然とした



スマホのインカメラをうっかり起動させた拍子に、滝に打たれたような姿を確認したからだ。汚い話で恐縮だが、鼻水が出ていることにも気づかないほど、口周りの感覚器官がシビレていたらしい。


これが花椒(フォージャオ)というヤツか! ――と気づいたときには、時すでに遅し。テーブルを見たら、大量の汗が。



それはすぐに卓上の紙ナプキンで拭き取ったものの、さらに視線を落としたら……



マジかよ。絶対に濡れてはいけないところがビショビショではないか。しかも、まだ料理は結構残っている。「辛いから」という理由で残すのは、辛い物好きのプライドが許さない。なんとしても完食せねば。そのためには、短パンなんてどうなってもいい

汗で濡れまくって、下着まで透けたっていい。透けまくって、帰れなくたっていい。帰り際に職質されたっていい。とにかく、『辛さ激増し 野菜たっぷり担々麺』と『麻婆豆腐』だけは絶対に完食せねば! 絶対に絶対に絶対に……!!

そんな覚悟で格闘すること数十分ーー。







そして……



【完】


参考リンク:餃子の王将「辛さ激増し 野菜たっぷり担々麺」、蒙古タンメン中本「メニュー
執筆:和才雄一郎
Photo:RocketNews24.

▼ちなみに、中本に比べて『辛さ激増し 野菜たっぷり担々麺』は麺が細い点も違いの1つ。

▼唐辛子的な辛さレベルこそ中本に及ばないものの、シビレがあるからナメてはいけない!