禁断の地。それがカーチャン(お母さん)のプライベートゾーン、すなわちカーチャンの部屋だ。家にカーチャンの部屋があることは、極めて稀(まれ)だと思われるが、子どもが独立して家を出たあと、子ども部屋をカーチャンが使うというパターンも珍しくはない。

そんな、「カーチャンの部屋に潜入したら、密かに漫画を描いててマジでビビった」という報告が当編集部に入った。報告者は漫画家のマミヤ狂四郎氏。そう、カーチャンの部屋というのがマミヤ氏のカーチャンの部屋であり、つまり漫画家のカーチャンがひそかに漫画を描いているのである。彼の母は59歳。一部の間では、伝説の天才少女漫画家「満利林(マリリン)」先生として知られている。

彼女が10歳~12歳頃に描いたスパイ漫画『アクションガールズ』は、ほとんど半世紀ほどの時間を経て、今年の9月に発掘され、ロケットニュース24にて公開された。圧倒的な描写力と、リズミカルな展開、衝撃的なラストを含め、多くの読者に衝撃を与えたことは記憶に新しい。なかには著名なプロの漫画家さんからの絶賛コメントもあったほどだ。そんなマリリン先生が、誰に頼まれたわけでもなく……ひそかに復活しようとしているのだ!

スパイ的に実母マリリン先生の部屋に潜入したマミヤ氏は、数々の「製作中現場」を激写。ゴッチャゴチャに散らかったカオス状態の机の上には、灰皿、タバコ、飲みかけの焼酎が入ったコップ、そしてスケッチブックにハサミやセロテープなどの文房具が置かれている。

特筆すべきは、「写植」である。パソコンを使えるようになったらしきマリリン先生は、「読みにくい」との意見もあったセリフ部分をパソコンで打ち、プリントしてから切り貼りするという伝統的な漫画の作り方をしているのである。そのまま用紙をスキャンして、パソコン上で着色、セリフ入れをするという概念は存在しない。あくまでも伝統的な手法にのっとり、漫画を作ろうとしているのである。59歳のおばさんが。

10月頃、マリリン先生は約45年ぶりに絵を描いた。その時のイラストは、お世辞にも上手いとは言えず、精神的にヤバいのでは……と思うほどの不安げな作品であった。おそらく、本人的にも悔しかったのであろう。今回製作中の漫画では、あの当時の、『アクションガールズ』の味そのままの、まさに満利林(マリリン)の味を本人的にも取り戻そうとしている気配が感じられる。

59歳のおばさんが、還暦間近のおばさんが、いままさに立ち上がろうとしている。しかも本気(マジ)だ。なお、今回の内容は、どうも未完に終わった『アクションガールズ』の続編らしい。約半世紀の時を経て、自らの「未完」に決着をつけようとしているのだ!

情報によると、『アクションガールズ続編(仮)』は、もうすでに完成しているとのこと。近日中に公開する予定なので、今のうちに伝説の漫画『アクションガールズ』をチェックしておくことをオススメしたい。今年最後の還暦間近のカーチャンによるカオス漫画、乞うご期待である。

写真・情報提供:マミヤ狂四郎