子どもの頃は誰しも、日常のささやかな出来事に感動と興奮を覚え、充実した毎日を送っていたのではないだろうか。それはもしかしたら、アニメキャラクターでも同じかもしれない。最近、トヨタが20年後のドラえもんの世界をCMで再現し、話題となった。

俳優の妻夫木聡さんが野比のび太を演じ、世界的な映画俳優として活躍するジャン・レノさんがドラえもんに。配役の斬新さに驚いた方も多いはず。そのドラえもんが、東京モーターショー2011に姿を現した。

トヨタのブースには作品でお馴染みの裏山が設けられており、そこにはアニメ・漫画版のドラえもんたちが。一方CMの俳優たちも記念撮影用のパネルとしてすぐ近くに立っているのだが、同じ作品のキャラとは思えないほどギャップを感じる。20年後の彼らからにじみ出る悲壮感に、見ていて切なくさせられるのだ。

「TOYOTA COLLECTION」と題された同社のブースには、全面に人工芝が敷かれ、和やかな雰囲気を醸している。まるで公園にでもいるかのような、さわやかな印象を与えてくれる。最近海外のインターネットユーザーの間でも話題になったコンセプトカー「FUN-Vii(ファンヴィー)」も展示されており、来場者の目を引いている。

しかしこのブースでは、ドラえもんがその存在感を圧倒的に主張している。ブース奥に設けられた小高い裏山には、ドラえもん、のび太、しずかちゃん、スネオ、ジャイアンが元気一杯の笑顔で出迎えてくれる。彼らの表情を見ているだけで、ワクワクとした期待がみなぎってくるのだ。

ところが、そのすぐそばにはCMメンバーのパネルが立っているのだが、同じ設定のキャラとは到底思えないほど、激しいギャップを感じるのである。まるで殺し屋のような無言の圧力を感じさせるドラえもん(ジャン・レノ)、現実の厳しさに打ちひしがれるのび太(妻夫木)、傲慢さだけが全面に出てしまったジャイアン(小川直哉)、予想に反してイケメンに育ったスネ夫(山下智久)。唯一の救いは美しく成長したしずかちゃん(水川あさみ)だけだ。

あの天真爛漫な笑顔はどこへ行ったのか……。夢に満ち溢れたはずの毎日はどこへ行ったのか……。ブースに設けられた裏山にいるドラえもんたちと、20年後のドラえもんたち。一緒に見ているととても切ない気持ちになってしまう。

写真:Rocketnews24

▼ 裏山の元気なドラえもんたち。見てるだけで元気が出てくる


▼ そして20年後。月日は人を変えてしまう……。
▼ 只者ではない目つきのドラえもん
▼ のび太の人生には一体何があったのか
▼ 唯一の救いはしずかちゃん
▼ 厚さ約10センチのドラえもん
▼ 後ろ姿はさらに切ない