先週に引き続き、上海から300キロの距離にある100均ショップの仕入れ場所、世界最大の卸売市場「義烏(イーウー)」のレポートです。

なかでも有名な義烏最大の「福田市場」は、総面積が中央区の半分程度もあり、AからHまでのゾーンごとに(それぞれ四階建て)、アクセサリー、油絵、台所用品から錠前まで、同系統の商品を扱うショールームが約四万軒ひしめき、ひとまず玩具ゾーンをひたすら歩いてみるも、行けども行けども果てしなく玩具で道に迷い、自分がどこにいるのか分からなくなってしまう超弩級の規模。

卸売と言うだけあって、数百個〜数千個のロット売りが基本だが、そのぶん値段はびっくりするほど安く、100円ショップで見かける類の台所用品だと、交渉も何もなく20円とか30円。どう見ても千円以上しそうなデジタルはかりは言い値が150円。

こんな値段で部品代や箱代、運搬料、店の経費が捻出できるのか、余計なことまで心配になってしまう。

膨大な商品を眺めるうち、明日にでも店がオープンできるような錯覚と興奮で息遣いも荒くなってしまう。しかし、そこは安かろう悪かろう。約束の納期に間に合わない(運搬の手前、納期は重要)、検品してみたら不良品だらけ、そんなトラブルも日常茶飯事。素人が安易に参入するにはリスクが大きい。

そんな不安を見越して、義烏には検品・発送などでバイヤーを手伝うサポート専門の会社も沢山ある。信用できるかどうかはさておき、日系のみならず、アラブ、アフリカ、ロシア系と様々な業者の看板をあちこちで見かけるのは、それだけ需要があるということだろうか。

夜の義烏市内は、中近東の町さながらにアラブ・アフリカ系の男たちで埋め尽くされ、同行したA氏いわく、どいつもこいつも杭州訛りの流暢な中国語を操る本格派。昼は中国、夜は中近東。何だか得したような気分になれる町だ!
(取材・文=クーロン黒沢

▼電気を使わないおもちゃエリア

▼卸売のみ。店頭にあるのは全てサンプルです

▼何だかよくわからないけど、華やかでした

▼アラブ・アフリカ・ロシア人ブローカー向けのサービス業も盛ん

▼電動空モノラジコン専門店

▼悪い冗談かと思うほど安いけど、数百〜数千個単位でしか売ってくれません

▼ここに来れば明日にでもおもちゃ屋が開業できる!

▼たこ専門店。ここで一ヶ月店番したら心の病気になりそう

▼激ヤバ版権ぬいぐるみ店。カメラを構えた瞬間、跳びかかる店員!