時の移ろいとは早いものだ。ついこの前、新商品が一年も経たないうちに型落ちして古くなる。特に新商品の開発競争が激しいゲーム業界では、鳴り物入りで発売された新機種も、あっという間に過去の遺物の烙印を押されてしまうのだ。購入したときの興奮も古い思い出となる。

インターネットオークションサイト「ヤフーオークション」(以下:ヤフオク)には、そんな昔流行ったゲーム機が数多く出品されている。最近、娘のいるインターネットユーザーが、ニンテンドーのゲーム機「ゲームボーイアドバンス」を出品し、話題を呼んでいる。彼が出品した商品の説明には、『娘さんと一緒に遊んだ楽しい思い出』と、他のゲームを購入してから『見向きもしなくなった悲しい出来事』がつづられているのだ。

このユーザーが出品したのは、ゲームボーイアドバンスSPとその周辺機器だ。2003年に日本で発売開始となり、アメリカ・カナダ・中国など諸外国でも販売されていた。

「ニンテンドーDS」が2004年に発売されると、ゲームボーイの時代は終わりを向かえ、今に至るDSの流れに引き継がれていくこととなる。このユーザーによれば、ゲームボーイ購入当初は娘さんと一緒に遊んだそうなのだが、娘の祖父が「ニンテンドーDSi」を買ってくれて以来、同機では遊ばなくなったのだとか。その商品説明の一部をご紹介しよう。
 
【ヤフオクに出品されていて話題を呼んでいる、「ゲームボーイアドバンスSP」の商品説明】(抜粋)
 
平成もまもなく四半世紀になろうかという時期にいくら任天堂の名機とはいえ「ゲームボーイアドバンスSP」を出品する事になったのか……? 

語るも涙、聞くも涙の血の轍を潜るがごとくの理由があります。普段飲まないバーボンを2杯3杯と煽り、枯らした涙は数知れず。冷たい世間の風に耐え、襟を立てつつ路地裏家業。野良犬のような蔑みは明日の我が身か、トラウマか。歌は世につれ世は歌につれ、やってきました北の地へ。村のみんなが見ています。今こそ歌っていただきましょう。曲はもちろん「ゲームボーイアドバンスSP」!はりきって歌ってもらいましょう。(ヤフオクより引用)
 
と、ここまでが前文である。ここから商品の説明が始まるのだが、この前文を読んでもユニークであることは、十分に伺える。最初から説明から完全に脱線してしまっているのだ。

ちなみにこの商品について、他のユーザーから「ユーモアだ」との感想が届いているのだが、このことについても「ユーモアではなかったのですが……。どれくらい真剣かというと菅元総理がお遍路行くくらい真剣に出品しているのですが、なかなか伝わらないものですねえ。今度は高田順次くらい真剣に頑張ろうと思います」と、再出品への意欲を燃やしているようだ。

彼の商品説明に興味のある方は、是非全文をお読み頂きたい。素晴らしい文才に思わず笑ってしまうはずだ。

参照元:ヤフーオークション