上海の玄関口・浦東国際空港に降り立った。

過去、ロケットニュースでも何度か取り上げたようだが、浦東空港にはドイツの技術を採用し、最高時速430キロで空港と市内を結ぶリニアモーターカーの駅があり、上海名物のひとつとなっている。

初のリニア乗車に緊張で胸いっぱいの私。片道50元のチケットを買って荷物チェックをこなし、15分ほど待たされてからプラットフォームへ走った。

さて、リニアのシートに座ったはいいが、妙な違和感を感じる……。最新技術の粋を集めた乗り物にしては、妙に煤けているのだ。

車内は(貧乏臭い感じで)薄暗く、窓は手垢まみれ。その窓から見える駅の表示版には「浦東国際空港駅」という表示が中国語と英語で刻まれていたが、英語表示の「t」の文字が何者かに持ち去られていた。つい先日起きた中国新幹線の事故が脳裏をかすめ、いやな胸騒ぎを感じた……

そんな私の心配をよそに、リニアは順調にスピードを上げ、微妙に振動しながらも僅か十数分で終着駅に滑り込む(この日はなぜか最高時速300キロ止まり)。

降車後、私は念願の記念写真を撮るべく先頭車両に走った。そして、その場に凍りついた……。

ぼんやり煤けた先頭部には血痕のようなものが飛び散り、おまけにライトにはヒビが入っている。

何か、見てはいけないものを見てしまったような……。気まずい気分で駅を後にした次第。直後、駅から乗ったタクシーでしっかりボラれました。上海侮りがたし。
(取材・文=クーロン黒沢

▼あこがれの上海リニア!

▼磁気カード式の入場券。おや? 少し煤けてるような……

▼中国の鉄道は手荷物X線チェックが基本

▼薄暗い車内。シートが若干くたびれていた

▼浦東空港駅の表示版。よく見たら「t」の字がない

▼最高時速430キロ。本日の制限時速は300キロ

▼記念写真を撮ろうと先頭部へ。血まみれでした

▼おまけにライトも割れてるし……大丈夫かよ!?