高層ビルやマンションが立ち並ぶ東京で、日本の古き良き町並みが今もなお残る浅草。私たち日本人が浅草を訪れるとどこかなつかしく、落ち着いた気持ちになるが、外国人は浅草で一体何を感じているのだろうか?

ということで今回、隅田川花火大会でにぎわう浅草を訪れ、外国人に浅草、日本の伝統文化、そして花火についてどう思うのかインタビュー取材してきた。彼らの意見からは普段私たちが気付かない日本の良さを学ぶことができ、非常に興味深い内容となっている。それでは、外国人の目から見た浅草、日本とはどういうものなのかインタビューを通して見ていこう。

【浅草についてどう思いますか?】
ドイツ サンドラさん(女18歳、上の写真の一番右にいる女性)
「日本の歴史が感じられる、とても伝統的な場所だと思います。そして、お寺が綺麗です」
 
ロシア ピンチュクさん(女20歳)
「どのお店も綺麗で好きです。特に今日は浴衣を着た女性がたくさんいて、本当に綺麗です」
 
ロシア キリチェンコさん(女34歳)
「昔ながらの場所で好きです」
 
フランス デュボイスさん(男24歳)
「お寺が好きです」
 
フランス ペレさん(男24歳)
「ここではお寺や浴衣姿の女性という古風な部分と、スカイツリーなどのモダンな部分の並立が見れて面白いですね」
 
オーストラリア アダムさん(男31歳)
「お寺、お店、そしてそこに来る人々、すべてが美しいです」
 
【日本のお寺とあなたの国の教会との違いは何ですか?】
ドイツ サンドラさん(女18歳)
「ドイツでは教会でお祈りをしたり、歌を歌ったりするのですが、行かなければならないという義務感のもと教会に足を運んでいる感覚があります。その一方で日本人は、自分の気持ちに素直で、本当に行きたいという気持ちがあってお寺に来ている感じがします。それから教会には、『病気の母を助けて下さい』のように具体的なお願いがある時に行きますが、日本の人たちは世界平和や家族の幸せなどより抽象的なことを毎朝習慣として祈っているというイメージがあります」
 
ドイツ ヴェレナさん(女18歳、上の写真の真ん中にいる女性)
「現在ドイツでは、キリスト教を信仰しない若者が増えていっているのですが、一部の家庭では子どもが親に教会へ連れて行かれて、そこで神様を信じるよう言われることがあります。そういう意味では、教会に行くというのは一種のしなければならないこととして認識されています」
 
ロシア キリチェンコさん(女34歳)
「今日たくさんの人が花火大会という伝統的な行事に来ているように、日本はすごく伝統を守る国だと思います。しかしロシアでは、現在多くの若者が教会に行かなくなっており、そこが日本とは違う点なのではないでしょうか」
 
フランス デュボイスさん(男24歳)
「フランスの教会は改築や修復工事などをあまりせず古く見えますが、日本のお寺は頻繁に修復をしているおかげなのか、新しく見えます」
 
オーストラリア アダムさん(男31歳)
「オーストラリアの教会より、日本のお寺の方が圧倒的に美しいと思います。例えば、夜にライトアップされた日本のお寺はとても綺麗です」
 
【日本の伝統文化で好きなところは何ですか?】
ドイツ パトリツィアさん(女19歳、上の写真の一番左にいる女性)
「伝統的な部分とモダンな部分が混ざり合っているところが好きです。例えば浅草寺から花やしきの急降下する絶叫マシンが見えたりして、そういうところが好きです」
 
ドイツ サンドラさん(女18歳)
「私も古いものと新しいものが混ざっているところが好きです。浅草の町の作りもそういった混ざり合った部分があって好きなのですが、道で浴衣を着た女性がいるなかで、隣には髪やまつ毛を大きく盛った女性がいるというコントラストもとても面白いです」
 
ロシア ピンチュクさん(女20歳)
「私は京都が好きなのですが、京都のお寺は凄く静かで、とても心が落ち着きます。現在ロシアの多くの都市がとてもにぎやかなので、京都みたいな場所に行くと心安らぎます」
 
【日本の浴衣についてどう思いますか?】
ドイツ サンドラさん(女18歳)
「とても綺麗ですね。それから日本ではそういう伝統的な服を着ていても、誰も不思議がらないからいいですね」
 
フランス ペレさん(男24歳)
「化粧や髪型も含めて日本人女性の浴衣姿は、本当に美しいです。フランスではああいった伝統的な衣装は普段着れませんから、こういった日本の文化は素晴らしいと思います」
 
オーストラリア アダムさん(男31歳)
「本当に可愛いと思います」
 
【日本の花火とあなたの国の花火の違いは何ですか?/日本の花火大会をどう思いますか?】
フランス ペレさん(男24歳)
「フランスの花火は、音楽と共に打ち上げられます。コンピュータで計算して、『曲のこの部分が来たら、3番目の花火が打ち上がる』というように設定したりしていて、とても機械を使った仕組みになっています」
 
オーストラリア アダムさん(男31歳)
「日本の花火の方が大きくて、長い時間を行われると思います。オーストラリアで花火と言えば5分くらいですぐ終わりますが、日本の花火は今日のように1時間半も行われてとても盛大です。それから私は日本でお御輿(みこし)を担ぐのに参加したことがあるんですが、日本語が少ししか話せない私にみんな話しかけてくれたり、担ぎ終わった後に一緒にお酒を飲んでくれたりして、ひとつの楽しい時間を全体で共有しようとしているのが感じられました。そういう日本の文化が、私は大好きです」
 
フランス デュボイスさん(男24歳)
「今日は自分たちの旅行のなかで最高の日ですね。なぜならたくさんの人の幸せそうな顔が見れたから。東京の人は普段仕事で疲れていたり、真剣な顔をしているので、こういう祭り時の幸せそうな顔を見れるのは嬉しいです」
 
日本の伝統を感じられる場所として多くの外国人から慕われる浅草。ぜひみなさんもこの機会に浅草を訪れ、日本の良さを再認識してみてはいかがだろうか?
(文、写真=田代大一朗

▼取材した日は隅田川花火大会の日で、浅草寺境内も凄い人だかりが出来ていた

▼道路も歩行者天国に

▼美しい花火が続き、多くの歓声が上がっていた

▼日本で働いているロシアのキリチェンコさん(左)と初来日のピンチュクさん(右)

▼観光中のフランス出身ペレさん(左)とデュボイスさん(右)

▼日本に留学中のオーストラリア出身アダムさん