不況まっさかさま。明日をも知れぬ現代において、日銭を稼げるフードビジネスは地獄から這い上がる一筋の希望であろう。

前回「第37回:台湾屋台王への道! 屋台ビジネス虎の巻」でもご紹介したように、台湾では書店の料理本コーナーに屋台開業マニュアルが山積みにされるなど、日本と比較にならない簡単さで、ラクチンに、屋台ビジネス参入が可能である!

伝説の屋台オーナーが秘伝のレシピを披露する「直伝スクール」なんてのもあるそうだが、こうして苦労の末、晴れて秘伝レシピをマスターしたら、いよいよ待望の「屋台購入」である!

台北で屋台を買うなら、まずは環河南路の工具街を見るべし。台北の原宿と呼ばれる西門町にほど近いエリアだが、鉄錆の香り漂う地味な街並み。華やかさはこれっぽっちもない。厨房用品に混じって、屋台を作る町工場が軒を連ねている。

さらに予算をケチりたいなら中古の屋台を探すべし。参入が容易なだけに、商売を誤って一家離散する屋台オーナーも多数。そんな落伍者の皆さんが売り払った夢のかけらは、台北市・重慶南路三段の煤けた高架下にひろがる、中古屋台専門街で叩き売られる。

店頭に雑然と積まれた中古屋台の数々。じっと見つめていると、かつてこれらを引いていたおじさん、おばさん、お姉ちゃんの悶え苦しむ様が目に浮かび、湿度90パーセント強にも関わらず、背筋がヒンヤリするのでした。
(取材・文=クーロン黒沢

▼シャッター商店街を眺めているような、そんな気分に……

▼予算に合わせて、よりどりみどり

▼かつてはこの屋台に檳榔姉ちゃんが?

▼だれーもいなくて、余計不気味でした