擦り傷と言えば、「とりあえず消毒薬で消毒、とにかく乾燥させよ!」と言われてきた方も多いのではないだろうか。記者も幼い頃からそう教え込まれてきたものだが、最近では消毒薬も乾燥もご法度、患部を食品用ラップフィルムで覆い乾かさないようにして治す「モイストヒーリング法」が注目されているらしい。これだと傷痕が残らず、キレイに治るそうだ。

折しも記者は先日、自転車で爆走中に派手に転倒。ガードレールに顔面からダイブをし、手足はもちろんのこと顔と腹を含む全身に擦り傷を負ってしまった。イテテイテテ……。ということで気になっていたモイストヒーリング法、さっそく試してみた!

モイストヒーリング法に必要なのは、食品用ラップフィルム(以下ラップ)と固定用の医療用テープのみ。まずは患部を水道水もしくは生理食塩水で洗い、清潔なティッシュ等で水気をふき取った後、ラップで覆い、医療用テープで留めるだけだ。必ずしも密閉する必要はなく、少々空気が入っても良いらしい。

通常、傷ができると傷口から「滲出液(さんしゅつえき)」と呼ばれる体液が出てくる。この体液の中で表皮は再生されるのだが、モイストヒーリング法は傷口をこの体液で満たすことにより表皮の再生を促進=傷の治りを速め、しかもカサブタを作らないのでキレイに治るのだという。

体液を乾かさずに潤わせて保つがゆえの「モイスト」ということだ。人間の本来持つ自己治癒力を最大限に引き出す治療法だと言える。

注意点としては、

・従来の絆創膏やガーゼだと体液を吸収してしまうので、食品用ラップフィルムか、モイストヒーリング法に特化した絆創膏を使用すること。
・ラップは1日に1~2回交換、交換の度に傷口を洗浄すること。
・シミになりやすいため、再生されたての皮膚は紫外線にあてないようにすること。

だそうだ。

ちなみに記者の場合は、ラップを朝夕の1日2回交換、入浴時以外は貼りっぱなしたところ、3~4日で皮が再生された。傷口にラップを直接あてても意外と痛くないのが不思議である。

治療を開始して約1週間。周りの皮膚になじみ、ほぼ完治。傷痕が残らなかったのはちょっと、いや大分嬉しい。しかも経済的だ。

上述の通りモイストヒーリング法は、人の体の持つ治癒力を最大限に発揮させる治療法だが、出血が止まらないような深い傷、負傷した際に石や木の枝など異物が体に入ってしまった場合、膿が出てきた場合、また3日経っても皮膚が再生されない場合は、無理に続けず医師の診察を受けた方がよいとのことである。

写真:ロケットニュース24

参照元:正しいキズケア推進委員会