衆議院で自民党、公明党、たちあがれ日本の3党が提出した、内閣不信任決議案。6月2日採決が行われ反対多数で否決された。事前に賛成の意志を表示していた原口前総務相は、投票の段階になって事前の考えを翻して反対票を投じ、物議を醸している。

3日、原口氏は読売テレビ『情報ライブ ミヤネ屋』に出演し、投票時の様子や、今後の議員活動について語った。そのなかでメイン司会の宮根氏の「騙されたんですよね?」との執拗な問いかけに対して、「騙されたと思わない。騙されたなんて思いたくない」と答えたのである。

事前に決議案賛成の意志を強く表示していた原口氏。なぜ、直前になって反対票を投じたのかとの質問対して彼は、投票前の代議士会での訴えを説明した。それは、被災地の復興と、子ども、赤ちゃん、妊婦の避難を優先的に行ってくれるように要請したという。チェルノブイリ原発事故の対応を引用して、それに習うように早急に対応してくれるように頼んだそうだ。

この原口氏の意見に対して、菅総理は頷いて応じる意志を示した。「そのことを確認したので、反対票を投じた」と説明している。

意見が聞き入れられたと思ったため、決議案に反対したのだが、2日夜の報道では、菅総理は原発の冷温停止を1つのめどと示したのである。実のところ、原発の冷温停止はいつ果たされるかわからない。少なくとも、1年や2年以内に停止することは考え難いのだ。極端な話、辞める意志がないと考えて差し支えないだろう。

総理退陣の前提で、自らの要求を突きつけていた原口氏は、総理に欺かれたようなものだ。このことを宮根氏に問われ「騙されたってことですよね?」と問われると、かたくなに「騙されてない」と言い張ったのである。

仮にこれが総理の策略だったとしたなら、総理は同じ党員さえも、騙す狡猾な人物といわざるを得ない。そして「辞めると信じて反対に投じた」とも言っている原口氏は、本人の考えはどうあれ、騙されたということになるのではないだろうか。

写真:ロケットニュース24