2011年は、日本を代表する牛丼レストランが2社もタイに進出する。『吉野家』と『すき家』の両社だ。どちらも人気を博している牛丼レストランであり、和食が大好きなタイ人に受け入れられるはずだ。

『吉野家』は8月に進出する予定だが、一足先に『すき家』が5月28日に一号店をオープンした。ということで、無類の牛丼好きな取材班がタイ・バンコクに渡って海外進出一号店の『すき家』に行ってみたぞ! しかもオープン当日の朝から! はたして味は美味しいのか? 日本と何か違うのか? そこには日本には存在しない料理があった!
 
・ターゲット層は旅行者ではなくタイ人か
『すき家』が海外進出一号店をオープンさせたのは、東南アジア・タイの首都バンコクにある、『シーコンスクエア』というショッピングモール。このモールはシーナカリン通りにあり、バンコクの中心部からタクシーで20~25分程度の場所にある。やや都心から離れているが、観光旅行者というよりは地域住民が集まるモールとして有名だ。観光旅行者はもちろんだが、『すき家』がタイ人に地域密着型で愛されようとしているのがわかる。

5月28日10:00に開店した『シーコンスクエア』。4階にあがってみると、そこは映画館や中流家庭向けのレストラン街になっていた。都心部のデパート『マーブンクロン』(MBK)のレストラン街と同じような印象である。そこには、真新しいキラキラと輝いた『すき家』があった。英字で『SUKIYA』と書かれた看板がなんとも新鮮である。

店内に入ると、どうやら記者がお客さん一番乗りだったらしい……。なんだか申し訳ない気分になったが、とりあえず席に着く。オープン当日は、スーツ姿の日本人店員と、制服を着たタイ人店員がいた。スーツ姿の店員がビシッと教育したようで、タイ人店員はみんな声を出してハキハキと対応してくれた。これは好感触だ。
 
・社員教育はバッチリだが……
タイにおいて、いちばん苦労するのは社員教育なのである。オープン当初は店員の態度は良いものの、だんだんとダラけてくるのがタイスタイルである。『すき家』が、タイ人店員のモチベーションを落とすことなく、毎日、一カ月後も、一年後も、十年後も、このオープン当初のハキハキとした店員の態度を落とすことなく続けられるかが、成功の鍵である。
 
・謎のプーパッポン丼
店員はタイ語と英語が堪能なようで、両方の言葉で接客してくれた。メニューを見てみると、日本の『すき家』でも定番の牛丼が掲載されていた。しかし、なかには見たことも聞いたこともない料理が……。それがプーパッポン丼である。えっ!? なんだそれはっ!?

プーパッポンとは、カニと卵をふんだんに使用したタイカレーの一種。どうやらプーパッポン丼はタイカレーと牛丼が融合した料理らしい。これは食べてみたい! ということで、プーパッポン丼の並(89バーツ / 約240円)を注文した。一緒にサラダとドリンクのセットも注文。するとタイ人店員は丁寧に注文した料理を復唱し、こちらに確認してきた。日本の『すき家』以上に丁寧である。
 
・濃厚なウマミが美味しい
注文から2分ほどでプーパッポン丼が登場。『すき家』の海外進出一号の客になれて光栄だが、店員がみんなコッチを見ているような気がしてけっこう緊張する(被害妄想)。率直な感想をいえば、プーパッポン丼は非常に美味しい。プーパッポンの基本となるカニのウマミが卵と融合してソフトになり、それが牛肉とからみあってカニと牛肉のウマミがお互いの美味しさを倍増させている。

紅生姜を入れてみたが、これがまた美味しい。プーパッポン丼はタイカレーが盛られていながらも、それほどスパイシーではない。よって、そこに紅生姜を入れることによってパンチの効いた料理に変身するのである。これはタイ人にもウケるかもしれない。タイの『ケンタッキー・フライドチキン』で人気を博している、ケンタッキーのチキンを使ったカツカレーに似た風味をしていた。
 
・牛肉の味がやや濃い目か?
しかし、タイ人は思ったよりも薄口の味が好きである。あっさりしていながら、少しだけ強く主張している味が好きなのである。プーパッポン丼は非常に美味しいが、やや味が濃い気がしたのでそのあたりは改善の余地があるかもしれない。カレー部分が濃いのではなく、牛肉が濃いのだ。また、出されたドリンクの緑茶が極端に薄かった。オープンしたばかりで、茶の成分をあまり抽出できていなかったのかもしれないので、そこは評価に入れまい。
 
・『すき家』海外店の今後が楽しみ
タイ・バンコクには日本人に人気の牛丼レストラン『牛野家』がある。ここの牛丼は『吉野家』に似ている風味をしており、偶然なのか店名も似ている。しかし味には定評があり、多くの日本人旅行者や駐在員に人気を博している。『牛野家』は日本人を対象にした牛丼レストランだが、はたして『すき家』はタイ人をターゲットにしてタイで成功するのか? 今後も海外の『すき家』に注目していきたい。
 
店名 すき家 タイ・バンコク / シーコンスクエア店
住所 4F 55 Srinakarin Road, Nongbon Prawet Bangkok 10250
 
写真: RocketNews24.
Correspondent: Kuzo