4月24日、東京代々木公園で地球環境を考えるイベント「Earth Day Tokyo 2011」が開催された。このイベントは毎年開催されており、初回の2001年以来、年々動員数が増え続けて昨年は13万5千人(主催者発表)が参加している。今年は23、24日の両日開催され、歌手の加藤登紀子さんや小野リサさんらがステージでライブを行い、キャンドル・ジュンさんや田中優さんらがトークを繰り広げた。

実は今回のイベントで、もっとも注目を集めたのが、魚類学者でタレントのさかなクンだったのである。さかなクンは30分のステージで、自らの魚や海に対する思いを、来場者に伝えたのだ。

「Earth Day」はもともと、ウィスコンシン州のアメリカ合衆国上院議員、ゲイロード・ネルソン氏の提唱で始まったムーブメントだ。彼が地球環境を考える日を訴えかけ続けた結果、現在世界各国で催しが開かれている。日本でも、東京だけでなく全国約30カ所でさまざまなイベントが開催されているのである。

そしてこの日、さかなクンは漫画家の山田玲司さんに招かれる形で、イベントに出演したのだ。彼がステージに姿を現すと、来場者からは満場の拍手が湧き起こり、熱烈な「さかなクン!」コール。その様子にさかなクンは「ギョギョ!」とびっくり。子どもたちからも歓声が上がっていた。

震災当日の3月11日、番組の撮影で沖縄にいたさかなクンは、その当時、甚大な被害の様子を把握することができなかったという。後々にニュースで事態を知ったときには、とてもショックを受けたそうだ。

何より彼が胸を痛めたのは、津波により船を破壊されてしまった漁師たちのことだった。実際、被災地周辺の漁業関係者が所有している漁船のうち、実に93パーセントが破壊されてしまい、漁に出ることができなくなってしまったのだ。

被災者を激励するために、4月13日に岩手県久慈市、17日に宮城県南三陸町に足を運んだのだが、彼は漁師の誰もが、海に対する恐怖を抱いていると考えていた。

そして、「皆さんの船がなくなってしまって、僕はとても悲しいです」と、漁師の方々の窮状を憂いた。海と魚を愛するさかなクンにしてみれば、漁師の皆さんの気持ちを察してあまりあるものがあるだろう。

ところが漁師の方々は、「自分の海は最高だ」という気持ちを、強く持っていたのだ。そればかりか、早く海に出たいと願っているのである。ある漁師の方は、8月に船を手に入れる算段をすでに整えているそうだ。

「8月に船が手に入るから、さかなクンおいで」

そう言って、また一緒に海に出ようと誘ってくれたという。その言葉に、さかなクンは心底感動したのである。

さかなクンは復興支援のために、JF全漁連・JFグループの募金活動を支援し、「がんばろう漁業」のポストカードのデザインも行っている。ポストカードには「みなさまへ、1日も早く不安のない元気なくらしが戻りますように願っています」と書かれている。

写真:ロケットニュース24

▼ 拍手喝さいでさかなクンを迎える来場者