今月初め、小さな宇宙ゴミが国際宇宙ステーション(ISS)に危険なレベルまで接近するということを受け、ISSの乗組員は一時、脱出用宇宙船への緊急避難を検討しなければならなかった。中国の衛星破壊実験で生じたこの約15センチほどの宇宙ゴミは、結局ISSからわずか6キロメートルのところを通り過ぎていったが、この一件で宇宙科学コミュニティは、宇宙ゴミの危険さを思い知ることとなった。

しかし、2011年11月8日、なんと同じ様な現象が地球でも起きるというのだ。しかも今度は15センチの宇宙ゴミではなく、直径約400メートルもある巨大な小惑星だという。

6年前に発見されたこの『小惑星2005 YU55』は、「潜在的脅威」となる天体として分類されている。追突のリスクはないものの、この小惑星はゆっくりと回転しながら、月よりも近い距離—地球から約30万キロメートルほど—まで地球に接近するのだ。これは、銀河系レベル、あるいは太陽系レベルで考えたとしても、極めて近い距離である。ここまで巨大な物体が地球に大接近するのは、観測史上初らしい。

もしも直径400メートルの小惑星が地球に激突したとしたら、それは一大事なのだが、どうか安心してほしい。なぜなら科学者らは、この小惑星の密度や形を反映した、より正確な3Dモデルを作るため、通過する小惑星のレーダー画像を撮る綿密な計画を練っているのである。こうして理解を深めることで、この小惑星の何十年、何百年先の位置も特定できるモデルを作れるというわけだ。

そういうわけで、どうやら今回は映画『アルマゲドン』や『ディープ・インパクト』のような事態はまぬがれるようだが、これから先、もしも宇宙ごみや小惑星の進路上に地球があったとしたら、その時人間は、最悪の事態を避けるための技術や知識を持ち合わせているのだろうか?素人には到底何もできないこの分野、想定外のことが起こらないよう祈るばかりである。

(記者:Kanako Otomo)

参照元:popsci.com(英文)