私たち人間の意思疎通を円滑にしてくれる言語。今まで世界の言語のルーツに関しては、それぞれの地で独自に発達してきたという説と、ひとつの言語が世界に広がっていくにつれて変化してきたという説があった。そして今回、この後者の考えを支持する「世界のすべての言語は石器時代のアフリカ言語に由来する」という研究結果が発表され、世界を驚かせている。

これを発表したのはオークランド大学のクエンティン・アトキンソン博士で、彼は世界の504の言語を分析し、世界の言語はアフリカから離れれば離れるほど、音素(言語を構成する最小単位の音)の数が減っていくということを発見。

これが強力な証拠となり、世界のすべての言語はアフリカ言語に起源を持つという説が現在多くの研究者たちに支持されている。音素の数の違いについては、実際に各言語の音素の数を見ていくと分かりやすい。

【各言語の音素の数】
サン人のブッシュマン語(南アフリカ)-200
!Xuというカラハリ砂漠地方で使われている言語(南アフリカ)-141
ハザ語(タンザニア)-62
ダハロ語(ケニア)-59
クルド語(イラク)-47
英語-46
ドイツ語-41
フランス語-37
中国語[標準語]-32
韓国語-32
タガログ語(フィリピン)-23
日本語-20
バンジャラン語(オーストラリア)-16
ハワイ語-13

このようにアフリカ、特にサハラ以南のアフリカから離れていくと、各言語の音素の数が減っていくのが分かる。アトキンソン博士によると、これは私たち人類の祖先が、約7万年前にアフリカから世界各地へ移住していくにつれて、その音素を失っていったことを意味しているらしい。

また今回の研究により、アトキンソン博士は人類が言語を使用し始めたのは少なくとも10万年前だと発表しており、これは今まで考えられてきたものよりはるかに早い言語の誕生を示唆している。

今回の結果を受けて、レディング大学のマーク・パーゲル教授は、「アフリカから遠くなるほど音素が減る」と似た現象が人間のDNAにも見られると話しており、実際に現代のアフリカ人はヨーロッパの白人より非常に豊かな遺伝的多様性を持っている。

つまり言語の発達、そして人間のDNAから見ても、人類の起源はアフリカにあるという説がとても有力なのだ。

現在、世界には何千もの言語が存在しているとされており、まさに数え切れないほどの言語を人間は使ってきた。そしてそのすべての言語がひとつの言語に由来しているということは、やはりすべての人間は同じ起源を持つ兄弟だということ。そう考えると、世界がより近くに感じられ、他の国の人々により親しみを感じられるのではないだろうか?
(文=田代大一朗

参照元:DailyMail(英文)