ちょっと変わった方法でインドの村人たちを啓発して回っているグループがいる。その活動の一部をご紹介しよう。

ゴッドマン(超人的な力を有するとされるヒンドゥー教の行者)が弟子たちを従えてインドのある村にやってきた。奇跡を目撃するため集まった村人は次々と彼の足元にぬかずく。ゴッドマンは手始めに何もないところから聖なる灰や紙幣を出現させる。また、彼がパワーを送ると空になった甕(かめ)が再び聖水で満たされる。

ここからが本番だ。悪霊にとり憑かれた娘が両親に連れて来られる。娘の体から悪霊を取り出し、ヤシの実に閉じ込めて地面に置くと、なんとヤシの実は揺れて転がるではないか! さらに別の実に悪霊を移し、魔法の水をかけると発火。それを割ると血のような液体がドロリと流れ出て、解放された娘は倒れ込んだ。

悪霊祓いは見事成功。数々の奇跡を目の当たりにした村人たちがすっかり恐れ入る中、弟子が娘の両親に報酬を支払うよう促す。そこへ観衆の中からある男が進み出て、「まてまてまて、これはヤラせだぞ!」とゴッドマンのイカサマを暴露。村人たちはまんまと騙されていたことに気付いたのだった。

実はゴッドマンたちもこの男も、娘とその両親役も全員仕掛け人。「奇跡」は全てトリックだった。

例えば「無限の甕」は二重構造になっており、空気穴を指でふさいで空にしたフリをすれば、再び水が満ちたように見える。転がるヤシの実の中にはネズミが入っていた。タネと仕掛けを知ってしまえば何てことはないのだが、ゴッドマン扮する男が行うだけで村人たちは信じてしまう。

ゴッドマン(本職は銀行員)たちの正体は、インド合理主義者団体(Indian Rationalist Association)のボランティアメンバー。超常現象などを科学的に実証する団体だ。彼らは自ら「イカサマ軍団」となり、実際に目の前でトリックを暴くことで、人々が今後同じ手口で騙されお布施を巻き上げられないよう注意喚起するのが目的だという。

もし本物の超能力者が現れたとしても、この後ではなかなか信じてもらえなさそうだ。

参照元:YouTube yazid2005