1日7500人の感染者、1年に200万人の死者を生み出しているとされるエイズウイルス(正式名称:ヒト免疫不全ウイルス)。エイズウイルスのワクチンの開発は人類のひとつの夢であり、あまたの会社・研究所がその開発に挑んできた。

そして今回、25年間のエイズウイルスとの戦いに終止符を打つとされる「モザイクワクチン」が人体による臨床試験に入るとされており、世界の注目を集めている。モザイクワクチンは国際研究チームが開発しているワクチンで、従来の薬とは違い、エイズの突然変異性に対応できる性質を持つ。

エイズにかかると人の免疫機能は低下し、普段なら問題にならないような病原体でも病気にかかりやすくなってしまう。その殺傷能力は恐ろしく、2009年エイズにより180万人の人が世界で死亡している。

今までこのワクチンを作れなかったのは、エイズウイルスが持つ突然変異性に対応できる薬が開発できなかったからといえる。しかし今回のモザイクワクチンは、数十万のエイズウイルスの断片情報をもとに合成されたタンパク質配列を複数組み合わせて作られており、エイズウイルスの突然変異に応じて免疫機能に指示を与えられる特質を持つ。

そしてその効果が、昨年マウスとサルの動物実験によって示され、来年の末までには人による臨床試験を行いたいと研究員達は話している。モザイクワクチンの研究を20年間行ってきたベット・ケルバー博士は「現在、動物実験の結果のおかげで私は自信を持っています。これは人体実験に値するほどのいいアプローチだと」と述べた。

実はケルバー博士は、エイズによって2人の友人を亡くしており、「エイズウイルスのワクチンを作ることは、私の人生の目標なんです」とその開発への熱い思いを語っている。今回の初期臨床試験で人体への安全性が認められれば、より大きなグループでワクチンの有効性を見る第2相臨床試験へと移れる。

様々な人の願いを背負って開発が進められるモザイクワクチン。無事に完成され、世界でエイズに苦しんでいる人が一日も早く救われることを願いたい。

(文=田代大一朗
参照元:DailyMail(英文)