3月3日放送の『とんねるずのみなさんのおかげでした』では、「芸能人プライベートクイズ QQQの休日」という企画が放送されていた。そこでは、3月9日に49歳の誕生日を迎える木梨憲武が、友人のタレント達にバースデーを祝ってもらったときの様子がレポートされていた。

進行役を務めたのは、おぎやはぎの小木。小木の先導のもとに、木梨はいろんな場所に連れて行かれ、楽しんご、IKKO、バナナマン日村、高橋英樹といったメンバーから祝福を受けた。最後に訪れた綾小路翔の店「マスラオ」では、歌と踊りの派手なパフォーマンスで大いに盛り上がった。

そして、宴もたけなわとなったところで、小木が舞台に上がり、神妙な面持ちで木梨に対して「とっておきのプレゼント」を準備していることを告げた。

「最後にですね、私からノリさんに、一番喜んでもらえるサプライズを用意いたしました」

そして、小木のかけ声と共に現れたのは、なんと、シャンパンを片手に持った石橋貴明だった。まさか相方が出てくるとは思わなかった木梨は、心の底からビックリしたというような、キョトンとした表情を浮かべた。そして、石橋にシャンパンを手渡されて、小さく一言。

「タカ、来たの?」

石橋は、呆然とする木梨に手を差し伸べて、がっちりと握手を交わした。それを見て、ますますヒートアップする一同。思わず目にうっすらと涙を浮かべた木梨に対して、「泣くなよノリ!」と石橋が声をかけると、木梨は自分の手のひらをじっと見つめて、「タカの手って、でっかいんだ……」と感慨にふけった。

これまで石橋は、あまりに照れくさくて、プライベートでは一度も木梨の誕生日を祝ったことがなかったのだという。コンビ結成30年を超えて初めて、テレビの前で石橋は相方のバースデーを祝福することができたのだ。

その後、2人は店のカラオケで往年のヒット曲「一番偉い人へ」を熱唱。会場の盛り上がりは最高潮に達した。

「これで少し、おぎやはぎより仲いいところが見えたんじゃないでしょうか」

歌い終わった後、木梨は冗談っぽくそうつぶやいて、深く頭を下げた。お笑い界に君臨する奇才・木梨憲武の、40代最後のバースデーは、全国のとんねるずファンにとって、一生忘れられない幸福な記憶になった。
(文=お笑い評論家・ラリー遠田

イラスト:マミヤ狂四郎