放射能漏れが深刻になり、依然予断を許さない状況が続く福島原発。その被害拡大を防ぐため、東京電力は当初50名だった作業員を181名に増やして現在復旧作業にあたっており、日本全国がその行方を見守っている。

彼らが復旧作業を行っている場所は、放射能漏れが激しい原発に非常に近く、大量の放射線を浴びながら作業を続けていることになる。しかし彼らはそんなことも顧みず、まさに決死の覚悟で事態の収拾に全力を尽くしているのである。

そんな中、イギリスのタブロイド紙「Mirror」が、作業員とその家族たちの間で送られたメッセージを取り上げ、そこに秘められた人々の想いを紹介している。

Mirrorによると、ある作業員は福島原発での戦いをあきらめず、自分の妻に「これからも元気で生きていって下さい。自分はしばらく家に帰れません」という内容のメッセージを送ったという。

そして、作業員の娘とされる少女がツイッターで「お父さん原発行っちゃったよ一度避難した原発の人も呼び出されて戻ってるんだって。母さんがあんなに泣いたの初めて聞いた。原発の人たちは自分を犠牲にみんなを守ろうと必死なんだよ みんな生きてほんとに生きて 原発の人の気持ちを無駄にしないで お父さん生きて戻ってきて」というツイートを投稿したことにも触れ、作業員の家族たちの複雑な心境を紹介している。

またMirrorは「私の父は、依然原発で作業にあたっています。原発では食料が尽きてきており、状況は非常に深刻だと思います。父は言っていました。自分は死刑宣告を受けたに等しい己の運命を受け入れたと」という内容のメールも紹介している。

現在、海外ではこの作業員たちを称える声が高まっており、Facebookには「Tribute To The 50 Heroes of Fukushima Nuclear Plant(福島原発の英雄50人への賛美)」というページが開設され、5000人以上のファンを集めている。

そして、そのページは「人類にとっての本物のヒーロー。神のご加護があらんことを」、「あなたたちの信じられないような自己犠牲は、全世界が敬意をもって見守っています。ありがとう」など彼らの勇士を称える世界各地からのメッセージで溢れかえっており、日本人だけでなく世界中の人たちが彼らの働きに感謝していることが見て取れる。

専門家の中には、被曝による作業員たちの健康被害は免れられないと訴える者もいる。しかしそれを承知で、日本全国の無事のため戦い続ける181名の作業員たち。私たちは感謝せずにはいられない。自らの命をかけたその働きを。そして、願わずにはいられない。彼らが無事に生還してくれることを。
(文=田代大一朗

参照元:Mirror