2月15日、それは4年ぶりに大規模なソーラー・フレア現象が観測された。その影響で、各地でオーロラが観測され、中国の一部の地域などでは通信障害があった模様だ。幸いにして被害はそれほど甚大ではなかったようだが、この日のフレアはこれから始まる災害の兆しかもしれないと科学者たちは懸念している。

■ ソーラー・フレアとは何か?
そもそもソーラー・フレアとは、太陽の表面上で起こる爆発現象だ。爆発の威力は水素爆弾10万~1億個と同レベルで、10分程のごく短い時間の発生でも、日本で1年間に発電される電気の100万倍ものエネルギーを放出する。ソーラー・フレアは太陽の活動が活発なときほど起こりやすい。

実は太陽の表面の状態は常に一定というわけではなく、活動が穏やかな時期と、嵐が吹きあれる時期がある。太陽の表面上にある「黒点」の調査によって、平均11年の周期で活動サイクルがあることがわかっている。

前回、もっとも活動が盛んだった時期(極大期という)は2001年だった。それから現在に至るまで、過去のサイクルと比べて静穏な状態が長く続いていた。最近になって、英国の主席科学顧問ジョン・ベディントン卿は、「太陽はこれまでの休止状態から脱しつつあるようです」と述べている。どうやらこれからの数年は、活動の活発化に伴いソーラー・フレアが起こる可能性が高まっているようなのだ。

■ ソーラー・ストームの影響とは?
大規模なソーラー・フレアが発生に伴い、太陽から電磁波や粒子線が大量に放射される。その放射現象を、ソーラー・ストームという。もしもこれが地球に向けて発生した場合、3段階で放射現象の影響が到達する。まず発生から約8分後に電磁波が到達、そして数時間後に放射線が降り注ぐ。2~3日たって最後に来るのが「コロナ質量放出」による、大量のプラズマの塊だ。

考えられる影響としては、電波通信が妨害され、携帯電話・パソコンなどハイテク機器の故障、人工衛星の誤作動や落下、さらには航空機高度での被曝など人体への影響があるものと思われる。

それだけではない。もしストームが相当大きければ、地上の電力網が全滅する可能性もあり、数週間・数カ月に及ぶ停電を引き起こすと専門家は言う。その間、ATMも使えなければ、株式証券市場も完全にストップ。経済にも大混乱が生じ、被害総額はなんと数十兆円規模にもなるようだ。

ベディントン卿は、「スマートグリッド(次世代送電網)やGPSなど、ハイテク機器への依存を深める現代社会では、私たちの脆弱性は飛躍的に増しています」と話す。人工衛星が増え、電気が生活を支え、電気製品や電子機器があらゆるところに利用されている21世紀。人類はかつてのいかなる時代よりもソーラー・ストームに脆く、世界的規模の大災害・大混乱に陥る可能性も否定できないのだ。

■ ソーラー・ストーム、未だ不明な到来時期
では、ソーラー・ストームは一体いつ来ると予測されているのだろうか。これに関しては、地球の天気以上に予測は難しく、実際のところわかっていない。

次に太陽活動が極大化する時期は2013年頃と予想されている。昨年NASAは、2013年5月頃にソーラー・ストームが発生する可能性があるという見解を発表している。

また、気になるデータもある。過去の大きなソーラー・ストームは1805年、1859年(観測史上最大)、1958年と、ほぼ50年周期で起こっているのだ(1910年ころは特に何も起こらなかったが)。もしこの周期で起こるとしたら、2010年頃に来ることとなり、仮に2013年だとしても決して不思議ではない。

さらに近年注目されているのが、古代マヤ人が残した予言書「クワウティトラン年代記」。そこには、紀元前3113年に始まった「第5の太陽の時代」が、2012年に滅びると記されている。つまり、世界終末の年と太陽活動極大化の時期がほぼ一致するのである。予言では2012年12月22日に世界が終末を迎えるとなっているが、それはソーラー・ストームによるものではないか、と一部ではささやかれている。

実際、規模の大きいスーパーフレアが発生した場合、その熱は真冬を真夏に変えてしまうばかりか、地球の大気からオゾン層が消え、食物連鎖の最下層から頂点までのあらゆる生物が死滅すると、米イェール大学の天体物理学者ブラッドリー・シェーファー教授はいう。ただし、太陽系の磁場の関係から、そのような強いフレアはこれまでも起きなかったし、今後も起きる可能性は低いとされている。

■ 今後の私たちにできること
どうやら、いずれ大きなソーラー・ストームが来ることは、間違いないようだ。米海洋大気局のジェーン・ルブチェンコ局長によると、「『来るのかどうか』という問題ではなく、『いつ、どれくらいの規模で来るか』という問題だ。だから、予測と準備が合い言葉になるべき」と指摘している。科学者の間では、すでに来ることが前提となって話が進んでいるようだ。

私たちは現在のライフスタイルを諦めて、電気による生活を改めることはできない。つまり、我々は宇宙から強い影響を受ける生活を送っているのだ。したがってソーラー・ストームを絶えず気にしていかねばならないだろう。

今後は、「天気」とは大気圏内の出来事だけでなく、宇宙のことも含まれそうだ。花粉情報や紫外線情報と同じように、地球磁場情報や宇宙放射線情報も天気予報で知る必要があるのではないか。それにより、社会的にはもちろんのこと、個人レベルでも真剣に対策を講じる必要が出てくるだろう。電源を切る、プラグをコンセントから抜く、ケーブルをはずす、鉄製・アルミ製の容器に電気製品やデータ類をしまう等、きちんと対策をしなければ、大損害を受けることになるかもしれない。

もっとも、強烈なソーラー・ストームが来てしまったら、個人レベルでの対策どころではないのだが。果たして、太陽は人類にとって恵みを与え続けてくれるのだろうか。それとも……。

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参照元:DailyMail(英文)