以前にもお伝えしたが、旅行ガイドに載っている情報をすべて鵜呑みにすることは危険である。高級レストランやスパ、ショッピングに最適なデパートや市場といった情報に加え、現地での滞在プラン等が掲載されており、旅行気分を盛り上げてくれるガイドブック。しかしながら、最新版のガイドブックに掲載されているレストランへ足を運んだはずが、目的地はマッサージ店に変わっていた、なんてこともよく聞く話。

ガイドブックを信じてしまった自分に憤りを感じた出来事をみなさんにお伝えしたいと思う。中国での長距離移動を考えていたときのこと。南宋代の都として栄えた杭州は、中国十大風景名勝のひとつとして名高い西湖がある風光明媚な土地だ。その杭州から上海の空港へ戻るための交通手段を探していた。

記者が購入したガイドブックには杭州駅から上海南駅までは中国の新幹線「CRH」で2時間ほどかかると書いてあった。が、切符を購入するスクリーンには、な、な、なんと杭州駅~上海虹橋駅間という、日本へ帰国する旅行者にとっては非常に便利な上海虹橋国際空港に直結したルートがあるではないか! しかも所要時間45分、乗車料金は1等席131元(約1600円)、2等席は82元(約1030円)。そんな情報は2011年版ガイドブックには載っていなかったのに……。

なんでも、上海虹橋駅~杭州駅間の新幹線は2010年10月26日に開通したのだとか。確かに2011年のガイドを出版するのには間に合わない情報ではあったはず。しかしながら、2010年末には国際空港に直結した新幹線の発着が可能になる、という情報ぐらいは分かったに違いない。上海にあるもうひとつの「上海浦東国際空港」を経由して旅していた自分が惨めに思えた。しかしながら、記者の情報収集力が足りなかったと言われれば、それも確かなのではあるが。

それではガイドブックが信頼できない、というなら何を頼りにすればよいのだろうか? 言語に自信がある人は、現地の人とコミュニケーションを図ればいい。それが難しい場合は、現地の日本語フリーペーパーや、現地の情報が細かく記載されている現地の日本語版ウェブサイトを見ることだ。現地で暮らす邦人が主な対象となっていること、更新頻度が高いことから、年に1回しか出版されないガイドブックと比べてはるかに鮮度の高い情報が得られるのだ。上海に発着する鉄道を始め、上海に関するありとあらゆる情報が載っている「エクスプロア上海」というポータルサイトは、上海周辺の情報を得るのに最適だ。ちなみに「エクスプロア」は、北京や香港など中国内の主要都市別に情報を網羅している。

限られた時間のなかで旅をしている旅行者は、滞在先での時間を有効に使いたいと思っていることだろう。パックのツアーであれば心配ないかもしれないが、航空券だけ購入して旅のプランを自分で立てたいと考えている人には、ガイドブックを購入しつつも、現地に密着した情報を仕入れるのが最善の策といえよう。

(執筆・写真/sweetsholic)