肥満は病気である。専門家に言わせると、「肥満」はガンや心臓病と同じように治さなければならない病気だという。もし本当に肥満が病気であるならば、体重が増え続けることを「自分の意志の弱さ」のせいにするのではなく、どうしてそんな病気になったのか専門家に尋ねるべきではないだろうか?

なぜ、私たちはそんなに太ってしまったのか? その答えはさまざまだが、専門家の答えを7つご紹介するので、今後のダイエットの参考にしてもらいたい。

■その1:衛生習慣の向上
摂取するカロリーは一昔前に比べて増加しているが、日常の運動量は年々減少している。これは誰のせいでもなく、現代人のライフスタイルがそうさせている。つまり、誰もが今の社会生活に原因の一端があると思っている。

しかし、近い将来、手洗いの励行や過度に殺菌された水や食品こそが、肥満の原因と知らされる可能性がある。なぜなら、ネズミを使った実験から、腸内細菌と食品衛生の新たな関係が発見され、肥満との関連が注目されているからだ。

殺菌処理された飲み物や薬などの抗生物質は、カロリー吸収を助け、食欲を増進する腸内細菌を増殖させている。つまり、その腸内細菌の繁殖は、最近の衛生習慣の向上で天敵となる細菌の減少に起因することが濃厚である。

つまり、食べる量は一定でも、腸内細菌の力でカロリーの吸収量が以前よりも増加する、素直に喜べない現象が衛生習慣の向上で引き起こされている。

■その2:あなたの両親
すべての人が現代社会のライフスタイルの犠牲になっているわけではない。痩せている人は存在する。その人たちは、「遺伝子サイコロ投げゲーム」の勝者である。そう説明するのは、コロンビア大学のスーザン・カーネル博士。

幸運な遺伝子の持ち主は、他の人が物足りないと感じる量でも満腹感が得られるため、太るまで食べ過ぎるという心配はない。つまり、太っている人は、遺伝子サイコロ投げゲームに敗れた人である。

■その3:特に母親
新しい研究では、生まれる前の赤ちゃんは、胎内いる時に体重をどう規制するかエピジェネティクス(後成的遺伝)メッセージを受け取ることが判明した。エピジェネティクスとは、遺伝子そのものは変わらないが、遺伝子が生後どのように機能するかについての答えを提供する。

ネズミを使った実験では、遺伝子的に同一のネズミ2匹を、太った母ネズミと、そうでないネズミの胎内に入れ、生後も、同じ量の食べものを与えて育てた。すると、太ったネズミの胎内から生まれたネズミは、太ったネズミに成長した。しかし、痩せたネズミの胎内から生まれたネズミは、太らずに成長するという結果となった。

どちらのネズミも遺伝的には同一で、高脂肪の餌を同じだけ食べたにも関わらず、肥満度の違いが現れたことは、母親の胎内にいる間に何らかの遺伝子的情報がやり取りされたと考えられている。

■その4:友達
人は他人と比較して自分自身の体重を評価する。そして太っている人の世界では、より太っていることが優越感に繋がる。肥満の研究者によれば、太っている人は太っている人と仲良くなり、たとえその人が遠くに住んでいても友達関係を維持しようとする。

そのような友達を持つことは、体重や食事量に関する基準値を大幅に上昇させ、肥満は個人の問題ではなく社会的かつ生理的現象と思い込み、ますます肥満をエスカレートさせる。

■その5:車、椅子、ソファ
現代社会は何をするにも便利になった。昔の人は、何をするにも相当量の体力を必要としたが、現代人は様々な場所でエネルギーの節約に成功している。

適度な運動は現状の体重維持と適度な食欲をもたらすことには有益だが、食べる量がそのままでは体重を減らすことには繋がらない。

現代人が減量に成功するためには、昔の人の運動量とそれを長い期間だけ持続する根気が必要である。

■その6:ファストフード天国
もしマクドナルドがなければ、私たちはもっと痩せていただろう。これはマクドナルドだけの話ではなく、すべてのファストフードに当てはまる。

ファストフードには、脂肪、砂糖、塩がいっぱい入っている。そして手軽で食べやすい食事は、大した満腹感を得ることもなく、いつまでも食べ続けられる。さらに、アルコール、ドラッグと同じように、脳内に恍惚感とも言える刺激を生み出す効果がある。

町の至る処にあるファストフード店は、まるで祭りの出店のようである。退屈していたり、ストレスで疲れている現代人を、麻薬のように引きつける。

そして、私たち現代人の体は、糖分の消化を滞らせるインスリン抵抗性を発達させてまでも、食べ物天国に迎合している。しかしインスリン抵抗性は、肥満をはじめとして糖尿病や高脂血症などの生活習慣病の原因となっている。

■その7:食文化の欠如
肥満の原因の三分の二は、遺伝子と環境に原因がある。残りの三分の一は、心理的要因と言われている。ギューギュー詰めのライフスタイルが、私たちを食べ物に向かわせるだけでなく、ストレスや睡眠不足も代謝作用の大きな足かせとなっている。

これは米国の食文化、もしくは食文化そのものが存在しないことに原因がある。米国は、他の先進国と比べて、食べる楽しみや食事のマナーを気にかけない。昼食を仕事机で食べたり、通勤中に朝食を済ませたりすることが日常茶飯事である。

そんな、食べることを軽視する姿勢が絶え間ない不満足状態を作り出し、肥満の問題を増幅させている。早く食べることは太ることに繋がるが、家族みんなでテーブルを囲んでする食事は肥満のリスクを減少させる。 
(文=アダム

■参照元:LiveScience(英文)