2月6日放送の『ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!!』は、恒例企画の「七変化」が行われていた。1人の芸人が、会議中に7種類の変装やパフォーマンスをして、同席する出演者やスタッフをどれだけ笑わせることができるかを競う、というもの。

今回のチャレンジャーは、破天荒な芸風で知られる野性爆弾の川島邦裕。設定に縛りがなく、「何をやってもいい」という状況で、このモンスター芸人がどんなパフォーマンスを見せてくれるのか。やる前から視聴者や共演者の期待は高まっていた。

川島は、1本目から快調に飛ばす。安っぽいオリジナルソングを流しながら、魚の苦い部分を避けて食べる学生を演じるという独創的なネタ。最後にはなぜか口から血を吐くという不気味なオチまで付けて、力づくで笑いをもぎ取った。その後も、顔面を白塗りにしてムッシュかまやつに扮したり、宮川大助・花子のグッズを紹介したり、姿を現さずに声だけで小泉純一郎を演じたり、バリエーション豊かな演技で、着実に笑いを取った。唯一、吉本新喜劇の名優・やなぎ浩二を大阪から招いて共演したネタだけは、ウケ具合も今ひとつだった。

無事に七変化を終えた川島に対して、手応えはあったのかと浜田が尋ねた。すると、川島は即答した。

「チャッソ(やなぎ浩二)以外はありましたね」

芸歴52年の大御所を、あっさり切り捨てるこの一言。すかさず浜田は「お前が呼んだんや!」と手持ちのフリップで川島の頭を叩いた。最初から最後まで、ひるむことなく淡々と自分のペースを貫き通した川島は、「七変化」という自由度の高い企画にふさわしい職人肌の奇才だった。
(文=お笑い評論家・ラリー遠田

イラスト:マミヤ狂四郎