お笑い芸人の気になる一言を取り上げて解説していくこのコーナー。記念すべき第1回は、11月10日放送の深夜バラエティ『ピカルの定理』(フジテレビ系)のトークコーナーで、キングオブコメディの今野浩喜が発したこの一言。

「ピースさんもものすごい面白かったです。……ただ、2位だった」

10月スタートの同番組では、この日の放送で新レギュラーの座を狙うキングオブコメディが登場。彼らを出迎えるトークコーナーが設けられていた。

レギュラー加入を目論むキンコメの二人に、ピースの綾部祐二は不満そうな表情を浮かべた。9月23日に行われたばかりのコントの大会『キングオブコント2010』で、キンコメが優勝を果たしたのに対して、ピースは惜しくも2位に終わっていたからだ。

そこで「あまりにもデリカシーがなさすぎるんじゃないか」と綾部が制作スタッフを責めると、キンコメの今野は、綾部をなだめるようにして冒頭の一言を繰り出した。この挑発的な言葉に綾部は怒りをあらわにして、今野につかみかかった。今野は顔を赤くして「おい、チャンピオンだぞ!」と反応。その場は大きな笑いに包まれた。

このような形で、M-1、R-1、キングオブコントといったお笑い賞レースをネタにして芸人同士がバラエティで絡む光景はすっかり見慣れたものになった。勝っても負けても、その結果自体が次にテレビに出るときの武器になる。そこには、今どきの若手芸人のしたたかな生き様が垣間見える。
(文=お笑い評論家・ラリー遠田

イラスト:マミヤ狂四郎